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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 出やがったルシルスだ。
 「おう、ルシルスじゃねぇか」
 ルシルスは、秘文字教の白い神官着の裾をからげて走ってきてスカイの前でジト目で指を振って言った。
 「なんですか、スカイさん、その、よそよそしい態度は。久しぶりに会ったんですから、もっと、感動の再会の、どぱーっとした、濃厚で、厚ぼったく腫れぼったい感じの言葉を掛けられないのですか」
 スカイは言った。
 「お前、信用できないだろう。ルシルス」
 ルシルスはジト目で言った。
 「またまた、本当は私に会えて嬉しいんでしょう。「ルシルス、会いたかったよ」とか、心の中で思っていて言い出せないんでしょう」
 ルシルスは、相変わらず自分勝手だった。
 スカイは言った。
 「マグギャランがシュラーヤと結婚する事を知っているか」
 ルシルスは言った。
 「知っていますよ。私とシュラーヤ姉様の実母は、同じで、タギャクイ伯爵家出身なのです。私も婚約式に出席するため来たのです。ですが、あのエロいマグギャランさんが、まさか、出来損ないのシュラーヤ姉様と婚約するとは意外でした」
突然、気の弱そうな女の声が回廊に響いた。
「ルシルス!その子がスカイ・ザ・ワイドハートなの!」
 スカイは辺りを見回した。
 「誰だ、どこから、声を出しているんだ。ルシルス、お前の腹話術かなんかか」
ルシルスは言った。
 「ミシュカ姉様は男性恐怖症なんですよ。多分、あそこです」
 ルシルスは、額に右手の人差し指を当てて、当たりを付けてから、右手の指で回廊の柱をビッと指した。
 スカイは見た。
 人影がビクッとして、柱の影に隠れた。
 スカイは言った。
 「あれが、料理が得意なミシュカ姉様か」
ルシルスはジト目で頷いて言った。
 「ええ、そうです。女神三姉妹の「愛情の女神」と呼ばれているミシュカ姉様です」
回廊にミシュカの声が響いた。
 「嫌!止めてルシルス!恥ずかしいから!私の話をしないで!」
 スカイは大声を出した。
 「出てこいよ!何コソコソしているんだよ!」
 回廊にミシュカの声が響いた。
「嫌!男の人は怖いから嫌!」
ルシルスが説明モードに入って言った。
 「ミシュカ姉様の男性恐怖症は、完全危険領域の「グラウンド・ゼロ」から半径1メートルの「プライム・デンジェラス・ゾーン」、更に5メートル以内の「サブ・プライム・デンジェラス・ゾーン」20メートル以内の「エブル・トーク・ゾーン」に分かれます」
 スカイは言った。
 「今が20メートル以内なんだな」
 ルシルスはジト目で頷きながら言った。
 「ミシュカ姉様は、シュラーヤ姉様やトパジアと同じ魔法剣士型なんです。魔法重視の魔法剣士型です。ですから、迂闊に男性が近寄ると非常に危険なんです。いきなり火柱や、雷撃が飛び出します」
 柱の陰からミシュカの頭が出てきた。
 金髪の髪を結い上げている。
 そして、じっとスカイとルシルスを見ている。
 スカイは言った。
 「そういや、ルシルス。お前の家は、みんな黒髪じゃないのか」
ルシルスはジト目で言った。
 「ミシュカ姉様の、あれは、ブリーチです。地毛は黒髪です。歳が離れた姉様方には、金髪の方も何人か居ますが。全員嫁いでいます」
ミシュカは頭を出して全身が出てきた。黒いドレスと赤い宝石を胸元に下げている。
 ミシュカは回廊の柱の影から出てきて。腰を曲げて、そろり、そろりとスカイとルシルスの方へ歩いてきた。
ルシルスはジト目で言った。
 「そろそろ5メートル以内の「サブ・プライム・デンジェラス・ゾーン」です。スカイさん気をつけてください。いきなり来ますから」
ミシュカはスカイとルシルスの近くまで来た。そして目に見えて、引きつった顔をして、ガタガタ震えていた。
 「ああ、やっぱり耐えられない、5メートル近くまで来ると……」
 ミシュカの周りに、炎と、氷と、雷撃の塊が一つずつ浮き上がり始めた。
 ルシルスはジト目でスカイを見て言った。
 「この辺で、ミシュカ姉様を止めておきましょう。ミシュカ姉様止まってください。出した魔法は、どこかに捨ててください」
 ミシュカは引きつった顔のまま、右手を振るった。三つの魔法の塊が次々と飛んでいって回廊の柱に激突した。最初に、炎の火柱が上がり、柱が氷に覆われ、氷の上で雷撃が激しくスパークした。
 スカイは青ざめた顔で見ていた。
ミシュカは引きつった顔のまま、ガタガタ震えて言った。
 「トパジアがコモンに行くそうですね。よろしく、お願いします…。トパジアは、性格は悪くて意地悪で陰険で狡賢いですが、根は良い子なんです。寂しがり屋で、一人で居ると直ぐに沈んでしまって、しかも物凄く傷つきやすくて、とても繊細で……」
いや、あの女は救い様が無く悪い女だよ。
スカイは、暗黒騎士のフォローをしている、姉ミシュカの言葉が少しも信じられなかった。
 マグギャラン、お前は、どういう家の女と婚約したか判っているのか。
 
 次の日、タビヲン王宮「黒水晶宮」の玉座の間で、吹奏楽団がラップを演奏し始めた。
「「殺戮の牙」軍団入場!」
三角形の赤い頭巾の上から鉄の仮面を付けた奴等ダーク・コアーズがエナメルのボンテージを着て王座の前でヒップ・ホップ系のダンスを踊っていた。
 やっぱり、このタビヲンは、どっかイカれているぜ。スカイは思った。
カーテンの端から見ていると、全身に眼が付いた奇妙な鎧姿の3メートル50センチぐらいの上背の怪人百眼魔や、顔が緑色の奴や、水玉模様の雨合羽を着て赤い雨傘を持った十歳前後の女の子ドロップや、樽みたいな鋼鉄の鎧を着ている手足の異常に細長い2メートルぐらいの奴や、ドレスを着てニコニコしているスカイを助けてくれた貴族の女などが並んで歩いてきた。背中にフライパンと巨大な穴あき文化包丁を背負っているメガネの女リリム・フェイラーも居る。顔がカエルの3メートルぐらい在る背丈の怪物達、とにかく訳のわからない格好をしている奴らと人間には見えない奴等ばかりだった。
 マグギャランは言った。
 「あれが「殺戮の牙」軍団か、噂では、人間以外の魔族が入って居るという噂が流れているが本当かもしれないな」
暫く怪人達の行進が続いた。
 「絶輪軍団入場!」
 先頭に巨大な3メートルの直径の鋼鉄で出来た車輪を担いだ身の丈が3メートル50センチを越す立派な口髭の大男を先頭に、3メートル以上の上背がある筋肉粒々で肩幅の広い大男達が皆、顔に様々な形のフルフェイスのヘルメットを付けて現れた。
マグギャランはハンカチを取りだした。
 マグギャランは言った。
「スカイ、悪く思うな。お前は、礼儀作法の「れ」の字も知らぬ、がさつな奴だ。ここは、タビヲン王宮「黒水晶宮」の中だ。お前が万が一にも口から礼儀作法に外れるような事をして皆々様方に迷惑を掛けないために猿ぐつわを口に噛ませる」
スカイはマグギャランに首根っこを押さえられた。
 スカイは言った。
 「何するんだよ!」
スカイは暴れた。マグギャランは背後からスカイを羽交い締めにした。
マグギャランはスカイを羽交い締めにしたまま言った。