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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「ああ、美味しい。デリシャスです。どうです、あなたも一つ」
スカイは言った。
 「思い出したぞ。その匂いは人間の肉が焼けたときに出る匂いだ」
巨大包丁女は横を向いて言った。
 「ちっ、なんだ、バレたのか」
 スカイは言った。
 「お前、メガネ掛けているけれど、もしかして、ヒマージの「食人鬼リリム・フェイラー」じゃねぇのか」
巨大包丁女は言った。
 「ははっ、そこまで、お見通しかい。そうさ、あたしゃ、誰が呼んだか「ヒマージの殺人シェフ、リリム・フェイラー」と言う者さ」
 スカイは言った。
 「俺がタブロイド紙「激スポ・ミドルン」で読んだ話では、確か、リリム・フェイラーは、人肉料理を振る舞う闇レストランを経営していて人骨が8体分出てきたという話しだ」
リリム・フェイラーは言った。
 「正確には、ヒマージで殺したのは、329人さ。あたしゃ、人骨を煮込んでスープも作るんでね。あんたも、あたしの人骨スープを一口飲めば病みつきになる、旨ささ」
スカイは言った。
「悪いが、俺は、人肉なんか食ったらロザ姉ちゃんに殺されるから、出来ないんだよ」
リリム・フェイラーは鼻で笑った。そして言った。
 「何、良い子ちゃんぶっているんだよ。あんたもタビヲンくんだりの、首都カハイナの「黒水晶宮」に流れてくるミドルン人じゃ、ひとかどの悪党だろう」
 スカイは言った。
 「お前は、ロザ姉ちゃんの怖さを知らないから、そう言うんだよ」
 リリム・フェイラーは言った。
 「おや、お客様達だ」
スカイもリリムの見た方を見た。 
 二組の怪人達が居た。
 後ろから九歳ぐらいの背丈の女の子供が歩いてきた。
 赤色に白い水玉模様の雨合羽を着て、同じ模様の雨傘を持ち、赤い長靴を履いて、トランプのジョーカーのような先端が二つに割れた赤い帽子を被っていた。
 そして、その横には、3メートル50センチぐらいの巨大な背丈の全身鎧の怪物が歩いていた。鎧には沢山の目があり、生きているのか瞬きをしてスカイとリリム・フェイラーを見ていた。
 スカイは言った。
「何だよ、オマエ等」
 リリム・フェイラーは言った。
 「あんた、口の利き方に気をつけた方が良いよ。この方達に、あんたを素材にして人肉料理を作ってもいいんだ」
九歳ぐらいの雨合羽の女の子ニッと白い歯を見せて嫌な笑顔を浮かべて言った。
 「わたしはドロップ。人呼んで「血の雨降らしのドロップ」。そして、こいつは、人呼んで「歩く要塞の百眼魔」」
 ドロップが言うと、百眼魔は、うねり声を上げた。
 「フゴォー、フゴァー」
ドロップは言った。
「ここは「殺戮の牙」の縄張りだ。「獣」や「車輪」の縄張りじゃないぞ。人間風情が何をしている」
 ドロップは嫌な笑いを浮かべて言った。
 そして、空は晴れているのに、水玉模様の赤い傘をクルクルと回して、差した。
ドロップは言った。
「「天気予報」をしようか?丁度空が晴れている」
 百眼魔は、うねり声を上げた。
 「フグァ!ブグァ!」
百眼魔の両肩の目から、かぎ爪の生えた。
巨大な腕が伸び始めた。
 こいつ等、もしかして強力な魔物なのか。
 スカイは、ようやく気がついた。
ドロップは意地の悪そうな顔をして言った。
「何を降らそうか。おい人間。どんな死に方をしたい?」
百眼魔は、うねり声を上げた。
 「フガァ!フガァ!」
 百眼魔は、尖った、かぎ爪をカニの様に打ち合わせて鳴らした。
 そのとき突然、両手をパチパチと打ち鳴らす音がした。
 そして若い女の声がした。
 「お待ちなさい」
 黒水晶宮の方から、白と紫の足首まである、お姫様ドレスを着た若い女が歩いてきた。右手に扇子を持っている。
 金髪の髪を結い上げている。そして青白い顔に、異常に赤く見える唇をしていた。だが、ニコニコと人なつっこい笑顔を浮かべていた。
マグギャランが喜びそうな、ミラーナ・カーマインのような美人だが、雰囲気は大分違っていた、ニコニコして優しそうな雰囲気があるのだ。
ドロップが言った。
 「ちっ、邪魔が入った。あの女か」
 百眼魔が、うなり声を上げた。
 「フガァ、フガァ」
 笑顔の金髪の女が言った。
 「ダメですよ。ドロップさん、百眼魔さん。あなた達では、その男の子に勝てませんよ。腰の剣は紛れもなく、魔剣「黒炎刻」。私も久しぶりに見ました」
 ドロップはスカイの方を見てギョロ目になって言った。
 「うっ、「黒炎刻」か」
百眼魔は、怯えるような、うねり声を上げた。
 「ウブフー・フブゥー」
ドロップは傘を閉じてボタンで纏めて言った。
「ちくしょう、「黒炎刻」相手じゃ勝てないや。やめた、やめた。リリム、悔しいから、旨い、人肉料理を作ってくれ」
 百眼鬼も横で、しきりに頷いていた。そして肩の眼から出てきた鉤爪をしまった。
 リリム・フェイラーはニコニコ笑いを作って、揉み手をして言った。
 「はいはい、判りました。2名様ご案内」
スカイを見てリリム・フェイラーは言った。
「ホラ、一見さんは帰った、帰った」
笑顔の金髪の女は言った。
 「さあ、行きましょう」
 スカイは促されて、笑顔の金髪の女と歩いて行った。
笑顔の金髪の女は言った。
「こんな所に迷い込むとは、いったいどうしたのですか?」
スカイは言った。
 「俺としても、迷ったと言うより、タビヲン王宮「黒水晶宮」の中を見物していたんだ」
笑顔の金髪の女は言った。
 「それは、ちょっと、不用心ですね。ここは、「殺戮の牙」つまり「テラ・ファング」の縄張りなのですよ。人間達は居ません。それか、リリム・フェイラーの様に人の道を外れた人間達です」
スカイは言った。
 「姐さん、アンタ何者だい」
 笑顔の金髪の女は言った。
 「さあ、何でしょう?私は何者でしょうか?世の中判らない事が多い方が楽しいじゃないですか」
 スカイは言った。
 「まあ、それもそうだな」
笑顔の金髪の女はニコニコ笑いをして言った。
 「話しの判る子ですね」
 スカイは言った。
 「さっきは、助けてくれて有り難うよ」
 笑顔の金髪の女は言った。
 「いえいえ、私が助けたのはドロップと百眼魔の方です」
 スカイは言った。
 「姐さんの話は良く話からねぇな」
 スカイと笑顔の金髪の女はダンジョンの入り口らしい所に来た。
 笑顔の金髪の女は言った。
「さあ、ここから先が「獣の縄張り」です。
あの「怒れる魔物の眼と牙」が「殺戮の牙」の紋章です。今後は、くれぐれも、この紋章の中には入らないでください」
そしてスカイにダンジョンの入り口のタビヲン国旗と交差された「殺戮の牙」の旗が在った。
 スカイは言った。
 「姐さん、ありがとうよ」
 笑顔の金髪の女は言った。
 「いえいえ、私も久しぶりに「黒炎刻」に選ばれた人間を見て、嬉しかったのですよ。それでは失礼します」
 笑顔の金髪女はニコニコしながら手を振って「殺戮の牙の縄張り」に入っていった。 
 スカイは「獣の縄張り」を歩いていた。
 スカイは回廊を歩いていた。
甘ったるいベタベタの女の声がした。
 「スカイさーん」