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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「大丈夫か、お前こそ、呪われているんじゃ無いか」
 マグギャランは言った。
 「そう言うな、決まったことは決まったことだ」
 スカイは言った。
 「でも変だな。お前の女の趣味だったら、シュラーヤよりも暗黒騎士に声を掛けそうな気がするんだが」
 コロンも横で頷いていた。
マグギャランは達観した顔で言った。
 「うむ、世の中は判らぬ事が多いモノさ。俺自身も自分の事が、良く判らぬのだ」
 スカイは言った。
 「本当に大丈夫かよ。そういや、俺たち、コレからどうなるんだよ」
 マグギャランは達観した顔で、ゆで卵の殻を割りながら言った。
 「判らぬな」
 コロンはパンを両手で持って、囓るように食べながら言った。 
 「……そうだね」
 スカイは言った。
 「まあ、俺は、この「黒水晶宮」の中でも見物してくるか。一生に一度ぐらいしかタビヲンに来ることも無いだろう」
 マグギャランは言った。
「俺はどうするか」
 コロンは言った。
 「……私は、呪文書を書き続ける」

マグギャランは、「獣の縄張り」の中を歩いていた。そして、人気の無い、回廊を見つけた。
 そこで、マグギャランは、腰の「魔剣リヴァイアサン」を抜いた。
 そして振ってみた。
 悪い剣では無かった。
 今まで使った剣の中では、聖剣「斬魔剣パラデイン」には劣るが、ドラゴンのダンジョンの中で折れた姉の形見の名剣「レディ・ガーダー」よりも良く。暗黒星のダンジョンでは、「斬魔剣パラデイン」の他にもスカイとシュドが宝箱を開けて発見して使っていた名剣が何本も在ったが、「魔剣リヴァイアサン」は、それらとも劣らない使いやすさだった。
 マグギャランは、ソークス・バンドに言われた事を、剣を振るい、突き、反芻していた。
 マグギャランはコートを脱ぎ、巨大な円柱の基礎部分に載せて。ユニコーン流の突きの練習を開始した。
 スカイとコロンと一緒では強くなれない。
あの二人は、自分達で人を殺さないという制限を設けることで、その縛りで強くなっている。
 だが、マグギャランが騎士の使命を果たすには、人を殺める事も必要になるだろう。魔物にハーベス王国は乗っ取られている。奸臣ゴネール大臣が呼び寄せた魔物の軍勢達。ゴネール大臣に従い、あるいは媚びへつらい魔物達の手先となって、栄達や権力を得るために協力しているハーベス王国の人間達も居る。
 マグギャランの剣は、その人間達も切らねばならない。
 マグギャランはキステリとの戦いを思い出した。
 スカイが「黒炎刻」でキステリに一太刀浴びせたのに、マグギャランはキステリの濃厚な殺気に圧倒されて、かろうじて剣を持ち上げることが出来ただけだった。
 スカイ、このバカ者。お前とコロンは甘すぎるんだよ。
 マグギャランは頭の中で文句を言っていた。
 だが、シュラーヤの笑顔が頭をよぎった。
 今の自分では、あの娘も守ることが出来ない。許嫁を殺された時と同じようにシュラーヤも殺されてしまうだろう。
マグギャランは人の気配を感じた。
 腕を組んだラメゲ・ボルコが、回廊の巨大な円柱に背中を預けて立っていた。
 シュラーヤやキステリが着ている騎士の制服と同じ物を着て、背中に十本の剣を背負っていた。
マグギャランは「魔剣リヴァイアサン」を腰の鞘に収めた。
 ラメゲ・ボルコは言った。
「熱心だな」
マグギャランは言った。
 「俺は強くならなければならない」
ラメゲ・ボルコが言った。
「コモンの騎士マグギャラン。重要な事を教えてやる。お前の剣は殺気の量が決定的に足りない。殺気にはキステリ伯爵のように外に出すタイプと、身体の内に張り巡らすタイプの、どちらかを選ぶ必要がある」
 マグギャランは言った。
「ラメゲ・ボルコ、お前から殺気を感じたことは無い、お前は身体の内に殺気を張り巡らしているのか」
 ラメゲ・ボルコは言った。
 「そうだ」
マグギャランは言った。
 「なぜ、こんな重要な事を教える」
ラメゲ・ボルコは言った。
 「お前が、シュラーヤ様と婚約したからだ。ウチのボルコ男爵家はクトイハ伯爵家に大恩がある。だから教える。決してシュラーヤ様を傷つけるな」
マグギャランは頷いて言った。
 「判っている」
 ラメゲ・ボルコは言った。
 「以前より大分剣の腕を上げたな。キステリ伯爵との戦いを俺は見ていた」
 マグギャランは言った。
 「ラメゲ・ボルコ、今の俺は、何本剣までの実力がある」
ラメゲ・ボルコは言った。
 「キステリ伯爵との戦いを見る限り、大体、六本剣「双頭竜剣術」までだ」
 マグギャランは言った。
 「「双頭竜剣術」とはキステリが「連れ散れの花びら」で使った切羽止めだな」
 ラメゲ・ボルコは言った。
 「そうだ。本来は、こういう剣を使う。キステリ伯爵は、美しく戦うために「連れ散れの花びら」という実用性に乏しい剣を使った」
 そして背負った、十本の剣から二本の剣を抜いた。そして、柄頭と柄頭を合わせると、柄の両方に刃を持つ一本の剣になった。
マグギャランは言った。
 「手合わせを願う」
ラメゲは言った。
「承知した」
 そして、マグギャランは言った。腰の剣、「魔剣リヴァイアサン」を抜いた。
 ラメゲは驚いた声を出した。
 「ミドルンの騎士マグギャラン、まさか、その剣は、軍団長の佩刀ではないか」
マグギャランは言った。
 「俺がドラゴンのダンジョンで手に入れた聖剣「斬魔剣パラデイン」と交換することになった」
ラメゲは言った。
 「そうか。判った。それでは説明する。6の剣、双頭竜剣術は、東方の彼方の異国からタビヲンに流れてきた、さすらいの剣士、リー・ホワングオが伝えた剣術だ。リー・ホワングオの双頭竜剣術は鉄壁の守りを特徴とする。攻撃よりも、守りを重視する剣術だ。攻めずに勝つ「非攻」をもって極意とする」
 マグギャランは言った。
 「俺の剣術は「ユニコーン流」だ。だが、ミドルン王国の槍使いの騎士ソークス・バンドに一日指事した」
 ラメゲは頷いて言った。
「開始だ」
 マグギャランも頷いた。
 ラメゲは、双頭竜剣を両手で持って構えた。
マグギャランは、ユニコーン流の突き「スピンドル・スラスト」を撃ち込んだ。
 ラメゲは双頭竜剣を使って受け止めた。
 突きを撃ち込んだ手応えの感触が消えていた。キステリの「連れ散れの花びら」に突きを撃ち込んだときと全く同じだった。
 マグギャランは言った。
 「切羽止めが、今掛かっている状態だな」
 ラメゲが言った。
 「そうだ。剣同士の接触で相手を動けなくする。これが双頭竜剣術の「切羽止め」だ」
 マグギャランは、ソークスから学んだ。リバース・スラストを掛けた。
 金属の跳ねる音がして、マグギャランの剣とラメゲの双頭竜剣が離れた。
 ラメゲは言った。
 「「切羽止め」を破ったか、腕を上げたな」
 マグギャランは言った。
 「キステリの、「連れ散れの花びら」の切羽止めは、俺とスカイの二本の剣を止めた。なぜだ」
 ラメゲは言った。