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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「私がタビヲンという評判の悪い国の女だからですか」
 マグギャランは言った。
 「それも違う」
 シュラーヤ思い詰めた顔で言った。
 「それでは、なぜですか」
マグギャランは困って言った。
「シュラーヤ、お前は俺の故郷の国では、まだ子供の年齢なんだよ」
 シュラーヤは立ち上がった。そして、右手で、肩の白いマントを外した。そして膝まであるブーツを脱いだ。そして腰の剣帯のベルトを外し、剣が床に落ちた。肘まである革の手袋を脱いだ。
 マグギャランは狼狽した。
 「おい、何やっているんだ、シュラーヤ」
 だが、シュラーヤは答えなかった。
 首を上げて紫色のタビヲンの騎士の制服のホックを外して隠しボタンを外していった。 そして上着を脱ぎ捨てた。
 シュラーヤはフリルの沢山付いた肘まである白いブラウスに灰色と黒のベストを着て白いスカートを履いた姿になった。そしてシュラーヤは、灰色黒のベストを脱いだ。
マグギャランは言った。
 「おい、シュラーヤ止めろ」
 だがシュラーヤは、白いスカートのホックを外して、ブラウスと白いタイツの姿になった。肘まであるフリルの付いたブラウスのボタンを首の方から外し始めた。
 マグギャランは、水差しの水を置いて、シュラーヤの腕を掴んで、頬を叩いた。
 マグギャランは言った。
 「自分を大切にしろ!シュラーヤ!」
 シュラーヤは涙ぐんだ目でマグギャランの顔を見て言った。
 「ぐすっ、私は女ですよ。魅力の無い女ですか」
 マグギャランは困って言った。
 「弱ったな。スカイの「黒炎刻」の呪いが俺にも移ったのか」
シュラーヤはマグギャランの胸に、もたれかかって顔を埋めて泣き出した。
マグギャランはシュラーヤが嗚咽を漏らして泣き出したのを見て言った。
 「どうしたんだシュラーヤ。話しぐらいなら聞いてやる。何で俺の所に、いきなり来て夜伽を、するとか言い出すんだ」
 シュラーヤは涙声で言った。
 「ぐすっ、父上の命令なんです」
 マグギャランは困惑した。
 「エメラン・ヨーアック・クトイハは何を考えているのだ、オレの様な一介の冒険屋の自由騎士(フリーランサー)に、侯爵家の令嬢を娶らせようとは」
 シュラーヤは涙声で言った。
 「ぐすっ、私はデキが悪いんです。妹のルシルスやトパジアと比べてもデキが悪いんです。ぐすっ、ましてや、「女神3姉妹」と呼ばれる姉のダーナ姉様やセルラ姉様、ミシュカ姉様に比べたら遙かにデキが悪いんです」
 マグギャランは言った。
 「そういえば、ルシルスが色々と君の悪口を言っていたな」
 シュラーヤは言った。
 「…ルシルスは性格が悪いんです。ぐすっ、ルシルスは、いくら食べても太らないから、私が一生懸命ダイエットして…ぐすっ…ようやく痩せた身体になっているのに、ルシルスは……いつも私の目の前でミシュカ姉様の作った美味しい料理を食べたい放題食べているんですよ」
 マグギャランは言った。
 「確かにルシルスは性格が悪いな。殺しの秘文字教の邪神官だ。しかも、すごい嘘つきだ」
 シュラーヤは言った。
 「…それだけじゃないんです、ぐすっ…私は、剣も魔法も…ぐすっ、妹のトパジアに敵わないですよ。姉なのに…ぐすっ、私は子供の頃から、顔も見ていない実の母親の「カミソリ夫人」の高弟達についてですね、…ぐすっ、バラン流大カミソリ剣術の修行をしてきたんです。でもトパジアは何の苦労も、ぐすっ、しないで、剣も魔法も私より全部得意なんです…」
マグギャランは言った。
 「暗黒騎士は、自惚れているだけさ。才能だけでは、世の中は渡れないさ」
 シュラーヤは言った。
 「……他にもあるんですよ、…ぐすっアステア義母様は、いつも私の事を怒るんです。ぐすっ……セルラ姉様も居た頃は、セルラ姉様は、いつも私のデキが悪いって怒っているんですよ。……ダーナお姉様が魔法都市エターナルに行く前は、ぐすっ…魔法を教えてくれたんです。でも、ダーナ姉様は、私には才能が無いから、続けない方が良いって。だから、私は、お酒飲んじゃったんです、……そうしたら、アステア義母様も、セルラ姉様も、すごい怒り出して、でも、ぐすっ……ルシルスもトパジアも、一緒に、お酒飲んだんですよ、でも全然酔わないんです。…二人は、お酒を飲んでいないってウソを言い張って、私だけ酔っている所を叱られたんです……」
 マグギャランは言った。
 「コロンも未成年だが、盗み酒をして酔っ払っている。シュラーヤだけじゃないさ」
 シュラーヤは言った。
 「まだ…在るんです、ぐすっ……沢山在るんです、父上もアステア義母様も、他の姉妹も全員、…ぐすっ…手足が長いモデル体型なんですよ。それなのに私だけモデル体型じゃ無いんです。だから…ぐすっアステア義母様は、いつも私のデキが悪い、デキが悪いって言って。……お前なんかクトイハの娘じゃ無いって言うんです。…ぐすっ、私なんか何一つ良いことが…無いんです。デキが悪い…デキが悪いってですね、ぐすっ、みんなに…思われて居るんです」
 シュラーヤは、そこまで話すとマグギャランの胸の中で身体を震わせて泣き続けた。
 マグギャランは押さえていたシュラーヤの両肩を軽く叩いて言った。
 「シュラーヤ、君にも自分で気がついていない、良いところはあるはずだ。少しずつ探せばいい」
シュラーヤはマグギャランの胸に顔を埋めたまま涙声で言った。
 「無いです、ぐすっ…そんな人に誇れるようなモノは…ぐすっ…無いんです」
 マグギャランは言った。
 「シュラーヤ、君の黒髪は、ストレート・ヘアーで綺麗じゃないか」
シュラーヤは言った。
 「私の髪は、ルシルスやダーナ姉様のストレートの黒髪と違って光っていないんです」
 マグギャランは言った。
 「そうか、光っているだけが美しいわけでは無い」
 シュラーヤは言った。
「私の義母様も、三人の姉様も、ルシルスやトパジアも、誰が見ても人目を引く、美人なんです。私は敵わないんです」
 マグギャランは言った。
 「シュラーヤ、君も十分綺麗だよ。もっともっと自信を持った方がいい」
 シュラーヤは言った。
 「でも、殿方は、ルシルスやトパジアみたいな顔や体つきの女性が好きなはずです」
 マグギャランは言った。
 「確かに、そういう女が好きな男もいる。だが、一緒に、いつも居たいと思う女性が別の女性である男もいる」
 シュラーヤは言った。
 「あなたは、どうなんですか、ミドルンの騎士マグギャラン」
マグギャランは言った。
 「俺には昔、許嫁が居たんだが死んでしまった。その許嫁は、暗黒騎士やルシルスの様な人目を引く美人では無かった。譬えて言えば野に咲く花のような、ひっそりとした女性だった。だが、俺は、その許嫁を愛していた」
 シュラーヤは言った。
 「それなら、私も愛してください。私を、あなたの死んだ許嫁と同じように」
 マグギャランは言った。
 「そういえば、まだ聞いていなかったな。何で俺の所に、いきなり来たんだ。エメラン・ヨーアック・クトイハが、なぜ命令した」
 シュラーヤは言った。