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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「そうは言っては居ない。アステアから、お前はデキの悪い娘だと聞いている。だが、お前も、ヨーアック・クトイハ侯爵家の娘だ。家門の名誉は守る義務があるだろう」
 シュラーヤは言った。
 「私には自害以外に思いつきません」
 シュラーヤの父親は言った。
 「お前は頭の悪い娘だシュラーヤ。デキが悪いというアステアの見立ては間違えていない。少し頭を使え。お前がタビヲン王国に居続けるには二つの選択肢がある、一つはキステリの側室になることだ」
 シュラーヤは言った。
 「キステリ伯爵の側室でも自害よりはマシでしょうか。ですが、もう一つの選択肢などは在るのでしょうか」
 シュラーヤの父親は言った。
 「キステリが撒き散らす悪い噂は決まっている、簡単な事だ。異国人の男二人に辱められたという、作り話を撒き散らすだろう。だが、キステリは、キステリ伯爵領の全ての人員を使って悪い噂を撒き散らす。そう言う男だ」
 シュラーヤは言った。
 「それでは、やはり、私には、自害か、キステリ伯爵の側室になるしか選択肢が無いはずです」
 シュラーヤの父親は言った。 
「全てを聞けシュラーヤ。頭の悪い娘だ。
最後の選択肢がある。つまり、キステリの撒き散らす悪い噂を実現させる方法だ」
 シュラーヤは言った。
 「それは、やはり、私に自害しろと言うことですね」
 シュラーヤの父親は言った。
 「全部最後まで聞け。お前の残された選択肢とは、異国人の剣士二人の、どちらかと結婚する事だ」
 シュラーヤは驚いた。
 「それでは、キステリ伯爵の思う壺では無いですか」
シュラーヤの父親は言った。
 「シュラーヤ。キステリは、ただヤることだけしか考えていない。キステリの男の趣味は昔と今では変わったが。女の趣味だけは変わっていない。つまり他人の女には興味を持たない男だ。だから、お前が他人の女になれば良い」
 シュラーヤは言った。
 「ですが、タビヲン王国の女に、ミドルン王国の男達が、なびくものでしょうか」
 シュラーヤの父親は言った。
 「お前も女だ。男を振り向かせる方法は女の本能で判っているだろう。そこから先は自分で考えろ」
 シュラーヤは言った。
 「父上、騎士マグギャランと、戦士スカイ・ザ・ワイドハートの、どちらがよろしいのでしょうか」
 シュラーヤの父親は言った。
 「シュラーヤ、お前は本当にデキの悪い娘だ。自分の結婚相手ぐらいは、自分で選べ。
ここに指輪がある。結婚指輪に使うと良い」
 シュラーヤの父親は机の引き出しから、金細工の指輪の箱を取り出した。
 その中には、ささやかな赤い宝石の指輪が二つ入っていた。

 暗黒騎士は、シュラーヤが出てくるのを待っていた。
シュラーヤが暗黒騎士のパパの執務室から出てくると。
 いそいそと秘密の会話が出来る場所を探した。暗黒騎士のタビヲン王宮の部屋に入った。
シュラーヤは言った。
「トパジアは、なんと言われました」
暗黒騎士は言った。
 「私はコロンをコマンダーに登録できるように、あの三人組に付いていって、冒険屋になれだって」
 シュラーヤは言った。
「私は騎士マグギャランか、戦士スカイ・ザ・ワイドハートの、どちらかと結婚するように言われました」
 暗黒騎士は言った。
「シュラ姉、どっちも最低の男だぞ」
シュラーヤは言った。
 「でも、自害したり、キステリ伯爵と一夜限りの妻になるのは嫌ですよ」
 暗黒騎士は言った。 
「いいか、シュラ姉、まず、スカイは呪われている。あんな恐ろしい呪われた魔剣「黒炎刻」を平然と持っていられるなんて、常軌を逸している。マグギャランはスカイより剣の腕はたつが、四の剣止まりぐらいの腕だ」
シュラーヤは言った。
 「でも父上の命令ですよ」
 暗黒騎士は言った。
 「あの二人が悪いんだよ。手枷と足枷を填めて、ヘルメットを、かぶせなかったんだ。忌々しい」
 シュラーヤは言った。
 「ですが、もう起きた事ですからね」
 暗黒騎士は言った。
 「シュラ姉は、どうするつもりだ」
 シュラーヤは言った。
 「正直なところ、年下の男性とは結婚したくないです」
 暗黒騎士は言った。
 「スカイは年下なだけではなくて、魔剣「黒炎刻」に呪われているから絶対止めた方が良い」
 シュラーヤは言った。
 「騎士マグギャランですね。コモンのプラチナ・プレートを持っている騎士なら家柄も釣り合うとは思いますが」
 暗黒騎士は言った。
 「シュラ姉は、どうやって結婚を申し込むつもりなんだ」
 シュラーヤは言った。
 「決めていません」
 暗黒騎士は言った。
 「それじゃ、どうするんだ」
 シュラーヤは言った。
 「トパジアは殿方に結婚を申し込んだ事がありますか」
暗黒騎士は言った。
 「無い」
 シュラーヤは言った。
 「それでは、私達では判りませんよ」

マグギャランは天蓋の付いたベットで横になっていた。スカイや、コロンも別々の部屋で眠っていた。考えることが多すぎて目が冴えていた。
 スカイとコロンと一緒では強くなれない。それが、一番悩むところだった。
 ドアがノックされた。マグギャランは身体を起こした。
 そして刺繍された枕の上に置いた「魔剣リヴァイアサン」を取った。
 マグギャランは扉に向かって言った。 
「誰だ、こんな遅くに、スカイ達か?」
 枕元に付けられた伝音管から声が聞こえてきた。 
「シュラーヤです」
マグギャランは怪訝に思いながら枕元の伝音管に言った。
 「何の用だ」
 シュラーヤの声が伝音管から聞こえてきた。
 「重要な話があります」
 シュラーヤの思い詰めた声にマグギャランは怪訝に思ったが。乗馬ズボンの下を履いた。
 そして、剣を持って、扉を開けた。
シュラーヤはタビヲン王国の騎士の制服を着ていた。
 そして腰には剣を差していた。
 マグギャランは、裸足で絨毯のフカフカ感を感じながら、シュラーヤに応接用の椅子を勧めた。
 そしてマグギャランは、水差しの横から逆さまにした切り子ガラスのグラス二つを、とり水を注いだ。
シュラーヤはグラスに口を付けなかった。ただ思い詰めた顔をしていた。
 マグギャランは溜息をついてから言った。。
 「どうした、シュラーヤ。またバラン流で決闘でも申し込むつもりか」
 シュラーヤは言った。
 「違います」
 マグギャランは言った。
 「それなら何をしに来た」
 マグギャランは切り子ガラスのグラスに口を付けた。カシス水だった。
シュラーヤは言った。
 「夜伽をしに参りました」
 「ぶっ!」
 マグギャランは口からカシス水を吹き出した。 
マグギャランは言った。
 「お前は、どう考えても十代だろう」
シュラーヤは言った。
「はい当年十六歳になります」
 マグギャランは慌てて言った。
「シュラーヤ、俺のストライクゾーンの一番下の対象年齢は二十歳以上で、一番上の対象年齢は二十九歳までなのだ」
 シュラーヤは思い詰めた顔で右手の拳を胸に当てて言った。
 「私に魅力が無いからですか」
 マグギャランは困って言った。
 「そうは言っていない」
シュラーヤは言った。