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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「口を慎め小僧。ガルガンダー陛下の閲兵は出陣の時だけだ。それと指を指すの止めておけ。ここはミドルンの下町じゃ無い。タビヲン王国の王宮なんだ」
スカイとマグギャランも馬から降りた。
 コロンは、暗黒騎士とシュラーヤに手伝って貰って馬から降りた。
 そして、エメランを先頭にして、次にキステリ、スカイ達三人とシュラーヤと暗黒騎士は続いて歩いて行った。その後を馬から降りた「超ケダモノ」軍団の剣士達が宝箱を持って運んだ。
 スカイ達は広場の横に在るアーチを潜って歩き始めた。
 スカイは生まれて初めて宮殿に入ったため、
物珍しく辺りをキョロキョロと見回した。
スカイは言った。
 「ほう、これが、タビヲン王宮「黒水晶宮」かい」
 エメランは言った。
 「ああ、そうだ。ここは、「黒の回廊」と呼ばれる、いわゆる廊下だ」
 確かにエメランの言うとおり、四、五メートルぐらいある太さの白い柱が並び、白い大理石を敷き詰めた床をスカイ達歩いて行った。
 しばらく、「黒の回廊」を歩いて行った。
スカイはシャンデリアを見た。
髑髏が幾つも、シャンデリアに飾られている。
 スカイは言った。
 「何だよ、何で王宮に髑髏が飾られて居るんだよ」
 エメランは言った。
 「あれは、近くのガヒィ王国の王族達の頭蓋骨だ。素直に穀物や家畜を渡さない場合、攻めていって国王を殺して見せしめにする為に頭蓋骨を王宮に飾っているのだ。あっちはイネンシ王国の王族達だ。よく見て見ろ、ちゃんとプレートが書いてあるだろう」
 確かに髑髏の首にはタビヲンのロシコ文字らしい文字で書かれた真鍮製のプレートが掛かっていた。
スカイは首を、すぼめて言った。
「人間じゃねぇよ、お前等」
 エメランは笑いながら言った。
「戦勝記念だよ。戦利品の中に余所の国の国家元首達の首が入っているだけだ。難しく考える必要はない。コモンにも死体を収めて飾っている博物館が在るだろう。それと同じだ」
 スカイは言った。
「おい、何だよ、この巨大なガラスに入った人間は」
 スカイの視線の先にはガラスの中に浮かぶ裸の人間が何人も柱に合わせて並べられていた。
 エメランは言った。
 「それは、近所の国の国王や王族達のホルマリン漬けだ。最近は、ホルマリン漬けの技術が出来たから、より分かり易く頭蓋骨を飾る事からホルマリン漬けにして陳列している」
コロンが青い顔をしてフラフラしていた。
吐きそうな顔をしている。
 更に歩いていった。
 壁一面に勇壮な筆致の壁画が描かれていた。
スカイは横の壁画を見ながら言った。
「何だよ、この画は。何か、王様みたいな奴が悪魔みたいな奴と取引している画じゃねぇかよ」
そこには、王冠を被った人物が、奴隷のように鎖に繋がれている人間達を悪魔に引き渡している画が描かれている。
 エメランは言った。
 「それはタビヲン建国の伝説を描いた壁画だ。歴史というモノは大切だからな」
スカイは言った。
 「本当かよ。隠した方がいい伝説じゃないのかよ。どう見ても王様が悪魔と取引して国民を生け贄に捧げている画じゃねぇか」
こんな物、宮殿の中に飾っておく神経が信じられなかった。
 エメランは言った。
 「違う。それは「呪いの渦」と言う伝説の大魔法使いだ。画を見て勝手に悪魔と判断されても困るな。タビヲンでは「呪いの渦」は神のように崇められているのだ」
 スカイは思い出しながら言った。
「そっちの方が悪魔より悪い奴だよ。三百五十年前の「絶望と頸木の王」の大臣だったんだろう。俺知っているよ」
マグギャランが言った。
 「スカイ、「呪いの渦」は宮宰だったんだ。ちゃんと、覚えておけ。コモン共通の文字と言語、つまり、今俺達が喋っている共通語、トレーダー語を創設し、度量衡や共通の通貨ネッカーとニゼを定めた。そして、「絶望と頸木の王」の没後、統一されていた大帝国は分解し、今の国々の原型が出来ていったのだ。とは言え、結局は小国家が乱立して戦国時代が始まったのだがな」
そして突然、回廊の前に赤い服を着た鬼の仮面を被った怪人が現れた。正確には赤い服ではなくて、赤い拘束着だ。全身をベルトでグルグル巻きにしている。ボンデージの様な服だ。そして両手が出ていて、木と鉄で出来た四角い手錠を掛けていた。鬼の仮面は真っ赤に塗られていた。
 スカイは言った。
「何だ、ありゃ」
 マグギャランはスカイに向かって囁くように言った。 
 「黙れ、スカイ。あの人物は、有名なタビヲンの仮面軍師「鬼面丞」さんだ。本人で間違いない筈だ。下手な口を利いたら殺されるか呪いを掛けられるぞ。黙っていろ」
スカイは思い出しながら言った。
「あの毒殺魔か。どっかの国の軍隊を毒で殺して全滅させたという」
マグギャランは囁くように言った。 
「スカイ。お前も、物を知らない奴だと思っていたが、それだけ知っていれば、することは一つだ。大人しく黙っていろ」
エメランは言った。
「鬼面丞、何の用だ」
ざら付いた男の声が聞こえてきた。
 「ふ…ふふっ。ドラ、ゴ、ンの…ダ、ンジョ、ンか、ら…帰、った、者達、そ、の顔を…見、に来、た」
何か発音の抑揚が変だった。
 もっと分かり易く話せよ。
 スカイは思ったが。
 マグギャランの忠告を受け入れ、口に出さないでおいた。
タビヲンの仮面軍師鬼面丞は鬼畜三将軍と並んで有名な悪魔のような酷い奴だった。
そういや、恐怖の無情騎士団のミスター無情もエメランの部下なんだよな。多分。俺、今、どういう所に居るんだろう。スカイは少し不安を覚えた。
 エメランは言った。
「そうか、まめだな鬼面丞」
 鬼面丞は言った。
 「ワ、レは……タビヲン、の軍、略を、担う……者、ぞ」

スカイ達三人と暗黒騎士とシュラーヤは、夕食をタビヲン王宮の「獣の縄張り」で食べていた。タビヲン王宮は、三軍団の三つの縄張りから構成されているのだ。
 スカイは、一生の間ミドルン王国で暮らすなら、知らなくて良いような知識がドンドンと増えていくことに若干の不安を感じていた。
 スカイはテーブルに並んだ沢山在るスプーンとフォークとナイフを見て難渋していた。
 スカイは言った。
「どうやって食えば良いんだよ。こんな沢山のナイフやフォーク、見たこともねぇ」
 スカイは目の前の食い物を、どうやって食えば良いのか困っていた。フォークやナイフや訳の判らない道具が三十個から四十個近く並んでいた。
 マグギャランは言った。
「うろたえるなスカイ。俺の真似をして食え」
 マグギャランは器用にナイフとスプーンを動かして言った。
 スカイは結論に達して言った。
 「まあ、いいや、どうせ、おれは冒険屋だ、適当にフォークで刺してナイフで切って食えば良いんだろうな」
 スカイはパンを丸ごと、そのままスープに浸して食った。そして、そのパンを逆手に持ったナイフで裂いて中に肉をナイフで刺して詰めて、サンドイッチを作って口に入れた。
 スカイは言った。