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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「……うん」
 暗黒騎士は言った。
 「コロン怒っている?」
 コロンは言った。
 「……なんの話し?」
 暗黒騎士は言った。
 「コロンに両手パンチを食らわせて、飛び膝蹴りをしたのは私なの」
 コロンは言った。
 「……そう」
 コロンは興味なさそうに、再び、万年筆を持って、呪文書に向かおうとした。
 暗黒騎士は慌てた。
 「コロン怒っているでしょ」
 コロンは言った。
 「……トパジアちゃんは、仕方が無かったんでしょ」
 暗黒騎士は言った。
 「うちの家は、タビヲン貴族だから悪い事しか出来ないんだよ」
 コロンは言った。
 「……コモンにも悪い人は一杯居るよ」 
 暗黒騎士は言った。
 「コロンは悪いことした事があるの」
 コロンは言った。
 「……ある」
 暗黒騎士は言った。
 「たとえば、どんなことを?」
 コロンは言った。
 「……ある要塞に、とても真面目な人が住んでいて、コロンは、おカネに目がくらんで、
その人を騙して、あまり良くない人の所に連れて行ったの」
 暗黒騎士は言った。
 「その真面目な人は、その後、どうしたの?」
 コロンは言った。
 「……コロン達の仲間になったの」
 暗黒騎士は言った。
 「まさか、スカイかマグギャランが真面目な人なの?」
 コロンは首を横に振って言った。
 「……違うよ」
 暗黒騎士は言った。
 「そりゃ、そうだよね。あの二人は、とても真面目とは言えないよね」
 コロンは言った。
 「……それじゃ、トパジアちゃん、コロンは、呪文書の続きを書くね」
 そしてコロンは、再び呪文書に向かった。 暗黒騎士は、自分の簡易ベッドに横になって眠った。
 
 翌日の午前中にスカイ達は、タビヲンの首都カハイナに到達した。
 途中で「超ケダモノ」軍団の騎馬の軍勢は、少なくなっていった。
 エメランの話しでは、自分達の領地に戻ったらしい。
 カハイナまで来た「超ケダモノ」軍団の騎馬の軍勢は、約百騎ぐらいにまで減っていた。
 スカイはマグギャランが操る馬の後ろに乗っていた。スカイは言った。
「何だよ、谷の間に幾つもダムみたいな砦があっただろう、あんなに沢山の砦を作る必要があるのかよ」
 マグギャランは言った。
 「噂以上に軍事国家だぞタビヲンはスカイ。お前も、よく見て置け戦争をやる国は、こうやって砦や要塞を沢山作る物なのだ。ハーベスもスロプと、よく戦争をするから砦は作られている。そして戦争をするのだ」
 スカイは言った。
 「オレは冒険屋だ戦争とは関係ねえよ」
 マグギャランは言った。
 「今はミドルンは安定しているが、昔は、ヒマージ王国と分裂する戦争があったんだ。お前もミドルンの安定が必ずしも盤石では無いことを知るべきだな。カーマイン女卿のカーマイン大公国では、鋸卿が地代地主に選挙権を与える大公国議会を作ってしまった。これから、どうなるか判ったものではないぞ」
 スカイは言った。
 「オレは、ミドルンは安定していると信じているよ」
 マグギャランが言った。
 「それが甘いというのだ。オレの祖国のハーベス王国は、魔物達が乗っ取っている、お前の国だって、古代モンスターが出現しただろう」
 スカイは言った。
 「まあ、カハイナまで来たじゃねぇかよ、結構でかい町じゃねぇのか。遠くから見た感じニーコ街よりも大きいな」
 スカイは山で囲まれた広大な平原に作られたタビヲン王国首都カハイナを見た。中央には巨大な城が見える。そして城の向こうには湖があった。
 マグギャランは言った。 
 「ミドルン首都の空中都市ウダルよりは小さいな。だが、最近の科学という魔法の発達から取り残されたタビヲン王国だ、日干し煉瓦で作った、みすぼらしい不法建築の様な建物が並んでいるだろう。住んでいる平民達がどれだけ低水準の生活をしているかは、簡単に推し量ることができるだろう」
暗黒騎士がコロンを後ろに乗せた馬を寄せてきて言った。
 「黙って聞いていれば、人の国の悪口ばかり言って。このカハイナは「永久(とこしえ)のカハイナ」と呼ばれる。タビヲン人なら死ぬ前に一度は見物したい観光スポットなのよ」 マグギャランは言った。
 「何が観光スポットだ。このカハイナの、どこに見るべき物が在るというのだ。どうやら、城壁は無いが、代わりに周りを囲む山脈が天然の城壁となり、城門の代わりに要塞が出入り口を塞いでいる。籠城戦に耐えるために、カハイナ周りには畑があり、用水路が在る、そして籠城した場合、水を湖から取ることが出来る」
 暗黒騎士は言った。
 「何、スパイしているのよ。ウチの国の秘密、暴いてどうするのよ」
 マグギャランは言った。
 「オレは騎士だ。この程度の事は誰でも出来る」
 暗黒騎士は言った。
 「何自慢しているんだか、もうすぐ町に入るからね」
 舗装されていない、大通りを「超ケダモノ」軍団の百騎の軍勢達は走っていった。
 確かにマグギャランの言うように、カハイナの町は日干し煉瓦で作られたと、おぼしい、
建物だけで構成されていた。
 最近の建築技術では、ミドルンでは、十階以上の高層建築を作れる。だがカハイナの日干し煉瓦の家は、二階程度の高さ以上の建物は見当たらなかった。他は、見張り台と、おぼしき建物だけだった。
 スカイは言った。
 「これがタビヲン王国か、噂に聞くミスター無情とか出てくるのか」
 暗黒騎士は言った。
 「ミスター無情?ああ、タギャクイ伯爵の事ね。タギャクイ伯爵領は、混沌の大地の近くだから、カハイナよりも大分離れているけれどね」
 スカイは言った。
 「本当にミスター無情の「無情騎士団」って居るのかよ」
 暗黒騎士は言った。
 「居るけれどね。シュラ姉は、ミスター無情の孫だけれど」
 赤ヘルのシュラーヤが馬を寄せてきた。
 「私の話ですか?」
 暗黒騎士は言った。
 「あ、シュラ姉、このバカ二人に、タギャクイ伯爵家の話しをしていたのよ」
スカイ達は「超ケダモノ」軍団に囲まれながら、カハイナの街の大通りを騎馬で駆け抜けた。
 そして巨大な白い石造りの白亜の建物の前に来た。
 城門が開いていた。堀は掘られていなかった。
 スカイ達は城門をくぐった。
 広大な、石で舗装された広場に出た。そして百騎の騎馬の軍勢が止まった。
 マグギャランも馬を止めた。
スカイは辺りを見回した。
 「なんだ、ここは、なんで、広場が在るんだ」
 エメランが馬から降りて言った。
 「ここはタビヲン王宮「黒水晶宮」の「鮮血の誓いの広場」だ。別名出陣の広場。ここから、ウチの国の軍勢は旅立つことになる」
 スカイは言った。
 「何だよ、その「鮮血の誓いの広場」って、
エメランは言った。
 「昔は、血を流して、タビヲンの大地に吸わせてから出陣した。今は違うがな。タビヲンも昔から大分変わった」
 スカイは、正面の城門のタビヲン国旗を指さした。
 その下に、三つの旗がはためいている。一つはエメランのテントで見た、「超ケダモノ軍団」の軍旗だ。
スカイは言った。
 「あそこに、王様でも居るのかい」
 エメランは言った。