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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「まさか、黒炎刻で、お前が切ったのか。確か、オレが、コモン共通騎士国家試験の、試験対策で勉強した、「黒炎刻」という魔剣は、魔剣に選ばれた人間が手にして切ると、黒い炎の模様を切った物に付けると言う」
 スカイは言った。
 「実はオレが切ったんじゃねぇんだよ、この剣が勝手に動いて切ったんだ」
 エメランが言った。
「なるほどな、それなら理解が出来る。持ち主を操る魔剣か」
 コロンは帽子を被り直して、杖と呪文書を持ち上げた。
 そしてエメランの前に背筋を伸ばして立って言った。顎を上げて、185?ぐらいあるエメランの顔を見据えて言った。
 「……「決闘」の結果はどうなるの」
エメランはニヤッと笑った。
 エメランはキステリの方を見て言った。
「「決闘」の結果は3分間経っても決着が着かなかった。それでいいだろうキステリ」
 だが、キステリは破れた上着を脱いだ。細身だが筋肉質の引き締まった身体をしていた。
 だが、その上半身には無数の切り傷の後と、縫合した傷の跡、火傷の跡が在った。
 そして左肩から右腰に掛けて、真新しい傷が在った。そして黒い炎の形をした傷が付いていた。
 キステリの部下らしい、イケメンの男が、タビヲンの白いマントと紫色の上着を持ってきた。
 キステリは上着を羽織り、白いマントを肩から掛けた。
キステリはエメランの言葉を無視してスカイに言った。
 「私はタトゥーは下品で嫌いだが。金髪の少年、君の贈り物の黒い炎の傷は美しいから感謝するよ」
 スカイは言った。
 「オレの贈り物じゃねぇよ。この剣が勝手に動いたんだ」
 キステリは言った。
 「やはり、君の中に私を惹き付けてやまない野生の力が在るのか」
 エメランは「超ケダモノ」軍団の前に立った、そして声を張り上げた。
 「聞け!タビヲンの男の子達よ!「決闘」の結果を立会人である「超ケダモノ」軍団の軍団長エメラン・ヨーアック・クトイハが伝える!「決闘」の結果は引き分けとする!よって、全ての「決闘」の理由と咎は消滅とする!」
 うおおおおおおおおおと二千騎の騎馬の軍勢から雄叫びが上がった。
 首根っこを捕まれたシュラーヤと暗黒騎士の部下達が解放された。
 皆、青ざめた顔をしてキョロキョロと辺りを見回している。
 だが、シュラーヤと暗黒騎士は、青ざめた顔をしていた。
エメランがスカイ達に言った。
 「おい、三人の冒険屋。これから、タビヲン王国の首都カハイナに行くぞ」
 スカイは言った。
 「何だよ、決闘は引き分けだろう、それなら、俺たちは、ミドルン王国に戻るだけさ。お宝を俺たちに返さないんだろう」
 エメランはニヤッと笑って言った。
 「確かに十五億ネッカー(150兆円)の財宝は返さないが、オマエ達三人に、くれてやる別の物が在る。それと、もう少し話し合いが必要だ」

 スカイ達は「超ケダモノ」軍団の二千騎の騎兵と一緒に、ナラシダ街道を馬に乗って移動を開始した。
 スカイは馬に乗れないから、マグギャランの馬の後ろに乗っていた。
ざわめきが、起こった。
 辺りに大気を振動させる轟音が、し始めた。
 スカイは、騎兵達が指を差している方向を見上げた。空だ。空から何かが降ってくるのだ。光る物体が空から降ってきた。
 マグギャランは言った。
 「何だ、あの光る物は」
 スカイは言った。
 「流星か?まさか、コロン姉ちゃんがやった隕石落としが成功したのか」
 スカイはコロンを見た。
 暗黒騎士と一緒に馬に乗ったコロンは落ちないように必死で暗黒騎士の胴に、しがみついていた。
 コロンはスカイを見ると頷いた。
 マグギャランは言った。
 「まさか、幾ら何でも伝説の隕石落としを出来るはずはないだろう」
巨大なヘルメットを被った暗黒騎士と赤いヘルメットのシュラーヤも空を見上げていた。
スカイは言った。
「あっちの方角は、俺達が連れ込まれた詰め所が在る辺りだ」
 そして赤く光る炎の塊の様な物体は落ちていって空中で爆発した。
そして、爆発して爆風がスカイ達の所まで土埃と共に吹き付けてきた。
 エメランはコロンを見ながら言った。
「間違いないな。規模は小さいが、あれは伝説の隕石落としだ。お前は一体何者だ」
コロンは言った。
 「……私は、四大元素魔法「炎の門」の魔法使い見習いコロナ・プロミネンス」
 エメランは怪訝そうな顔をしてコロンを見た。
 「プロミネンス?確か、サフィアが言っていた炎の魔法の専門家がフレイア・プロミネンスという名前だったはずだ」
 コロンは言った。
 「……その人が私の先生」
 エメランは考えながら言った。
 「なるほどな。サフィアと同じ師か」

 騎馬の軍勢はナラシダ街道を走り続けて夜になった。
 そして、事前に待っていた「超ケダモノ」軍団の別動隊と合流した。別動隊は、夕刻前に既に、夕飯の支度と、テントを張ってエメラン達「超ケダモノ」軍団の二千騎の軍勢を待っていた。
 エメランはタビヲン国旗と、超ケダモノ軍団の六つの頭を持つ獣の紋章の旗が飾られた天幕にスカイ達を連れて行った。
 テーブルと椅子が用意されていた。
 持ち運びが簡単な様な折りたたみが出来る物だ。
 スカイ達はテーブルに着いた。
 そして食事が運ばれてきた。
 それほど豪華とは言えないが。今まで食べてきたタビヲンの食い物に比べると大分豪華な栄養価の高い物だった。
 柔らかい黒パンに塩漬け肉に、野菜の入ったシチューだった。
 スカイは黒パンを割いて塩漬け肉を挟んだ。
そしてスカイの手はテーブルを探した。
 スカイは言った。
 「ケチャップとか、マヨネーズとか、ドレッシングはないのかよ」
 マグギャランはフォークとナイフで食べながら言った。
 「こら、スカイ、馬鹿者。これは陣中食だ、別名コンバット・レーションと呼ばれる軍隊が戦闘中に食べるメシだ。こういう物は、そのまま黙って食う物だ。ミドルン王国の町中のレストランのように、タバスコや塩や、コショウなどは置いていないのだ」
 コロンは、小さく切った黒パンを両手で持ってモグモグと食べていた。
キステリがスカイに言った。
「君は友達思いで男気も在るし、いい男だね。人殺しが出来ないのに剣を持っている所が、たまらなくキュートだよ」
 スカイは言った。
「うるせぇよ。デタラメな事言っているんじゃねぇよ」
 キステリは塩漬け肉をナイフとフォークで切って食べながら言った。
「私は、二千騎を止めた魔法使いを含む3人のパーティを一人で相手にしたことによって、実力を示せて一度裏切った「超ケダモノ」軍団の六本頭の元鞘に簡単に収まれると言う訳だ。アリガトウ、実に結構な話だよ。力関係的には、君達を負かさない方が、私の価値が出てくるのだよ。ドラゴンのダンジョンから帰った者達の強さを演出できるからね。それは私の美しい人生を飾る、様々な伝説の一つとして、巷間は、もとより、未来永劫に語り伝えられるであろう」
 スカイは言った。
「二千騎の前でウソ扱いて、良く平気でいられるな」
キステリは言った。