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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 キステリの左肩から右腰に掛けて服が切れていた。その切り口には黒い炎のような文様が浮かび上がっていた。そして血が流れていた。
キステリは腰の剣を抜こうとした。
 エメランは言った。
「何を熱くなっているキステリ。「超ケダモノ」軍団の軍団長が言っている。剣を引け「獣コール」だ」
 キステリは言った。
 「「獣コール」か、仕方がない」
 そして溜息を付いて剣の柄から手を離した。
コロンとマグギャランは倒れたままであった。
だが、素手で暗黒騎士に気絶させられたコロンよりキステリに斬られたマグギャランの方が重傷だった。
スカイはマグギャランに駆け寄った。   「おい、マグギャラン!」
 だが、左肩から右腰に向けて袈裟切りで傷が出来ていて血が吹き出ていた。
 マグギャランは弱々しい声で言った。
 「ス…スカイ、俺は、もうダメだ……俺の祖国ハーベス王国を救ってくれ……」
 スカイは叫んだ。
「バカ野郎!こんな傷で死ぬんじゃねぇ!」
 マグギャランは血を吐きながら、むせて虫の息で息も絶え絶えに言った。
「判るさ……この傷は…助かるような傷じゃない……最後の頼みだ」
スカイは叫んだ。
「死ぬな!バカ野郎!」
 スカイはマグギャランの身体が冷たくなってきた事に気が付いた。
 まずい!
 この傷じゃ確かに助からねぇ!
 エメランが言った。
 「トパジア、戦の秘文字教の治療魔法を使え。鬼面丞が3人とも生かして連れてこいと言った。鬼面丞の狙いは財宝の秘密を吐かせることだ。一人ぐらい欠けても構わないだろうがな」
暗黒騎士は言った。
「判りました」
 そしてマグギャランの袈裟に斬られた傷に両手で奇妙な印を結んでいた。マグギャランの傷が縫合されていった。
医療魔法だ。暗黒騎士は医療魔法を使えるのだ。あれだけ、剣の腕が高くて、医療魔法まで使えるなんて、ちょっと普通では考えられなかった。
 だが縫合は完璧ではなかった。傷が深すぎたみたいだった。傷口は、また開いてしまった。
暗黒騎士は硬質な顔のまま言った。
 「私の治療魔法では無理です」
 どうすれば良いんだ。
このままじゃ死んじまう。
 スカイは、思いついた。
 待てよ。
 ミレルが、くれた、財宝の中に「癒しの腕輪」があった。
スカイは言った。
 「待ってくれ、財宝の中に、傷を治す「癒しの腕輪」があるんだ。使わせろ」
 これに賭けるしか無かった。

何、そんな物が在ったの。手を抜いて居た、暗黒騎士は顔の表情を変えぬまま内心舌打ちをした。手錠と足錠を掛けられた、し返しをマグギャランにしていたが、スカイは予想も付かない事を言いだした。ドラゴンの財宝の中に傷を回復をさせるアイテムが在るなんて予想外の事だった。
 暗黒騎士のパパは言った。
 「まあ、良いだろう。この目で、財宝の力を見ることが出来るからな。だが使用回数に限度が在るのか」
 スカイは言った。
 「ねえよ。一日に2千人を治せるんだよ」
暗黒騎士のパパは言った。
 「使ってみろ」
 スカイは言った。
「待っていろよマグギャラン。ミレルの言うとおりならコイツで治る筈だからな」
 そして暗黒騎士はスカイが宝箱の中から取りだした腕輪を手首に填めるのを見た。
 そしてスカイが手をかざすとマグギャランの傷がどんどんと塞がっていった。暗黒騎士も完全に手を抜いていた訳ではなかったが。暗黒騎士の治療魔法の力では完全に縫合は出来なかったのだ。大体、「戦の秘文字教」で教えているルシルス譲りの治療魔法だった。だが、あの深かった傷が、見る見るうちに塞がっていった。こんな強力な力を持つ魔法のアイテムを初めて見た。

エメランが驚いた声で言った。
「ほう、この傷を治すことが出来るのか。即死では無いが致命傷だ。運の良い奴だ」
 スカイは言った。
 「ああ、そうだ。俺も使うのは初めてなんだよ」
 マグギャランの青く死体のような色をしていた顔に血色が戻ってきた。
エメランは言った。
 「これが、ドラゴンの、住みかから持ち帰った財宝の力なのか。恐ろしい物だな」
キステリは言った。
 「エメランよ。このような財宝に頼れば、ろくな事にはならんぞ。人の生き死にの規則を曲げるような財宝など。人間の分限を超えた物だ」
エメランは言った。
 「だが、この「癒やしの腕輪」だけで無く、他にも同等か、それ以上の財宝が、この宝箱の中には入っている。確かに、十五億ネッカー(150兆円)の価値のある財宝だ」
 キステリは言った。
 「エメラン、それが間違いの元だというのだ。強すぎる力は身を滅ぼす元凶となるぞ。いや、我々の身だけで無く、タビヲンをも滅ぼす元凶となるやもしれぬ」
スカイは言った。
 「オイ、マグギャランしっかりしろ、」
マグギャランは言った。
 「スカイ、オレは、どうした。お前が居ると言うことは、ここは地獄か。お前もキステリに殺されたのか。オレは、かろうじて天国に行けるつもりだったんだ」
スカイは言った。
 「バカ野郎。減らず口を叩くヒマが在ったら、自分の傷が塞がっていることを見てみろ。ミレルから貰った「癒やしの腕輪」が、お前の命を救ったんだよ」
 マグギャランは言った。
 「そうか、そういえばコロンは、どうした
暗黒騎士に両手パンチと、膝蹴りを食らっていただろう」
 スカイは言った。
 「まずい、忘れていた。コロン姉ちゃんにも「癒やしの腕輪」を使うか」
 スカイは、俯せになって荒れ地に倒れているコロンの傍らに行った。
 コロンの頭から、血が流れていた。
 横で暗黒騎士が気まずそうな顔をして突っ立っていた。
 そして力なくスカイに笑った。だが、スカイは暗黒騎士に構わずコロンの傷を調べた。
 この傷は多分暗黒騎士の手枷の鉄の部分が当たったに違いない。後頭部から血が流れていた。だがコロンの髪は黒髪で一見すると血が見えなかった。
 スカイは言った。
 「すまねぇ、コロン姉ちゃん。マグギャランの傷の方が酷いと思ったんだが、コロン姉ちゃんも重傷じゃねえかよ」
 スカイは「癒やしの腕輪」を使った。
 しばらくするとコロンのアホ毛がピクピクと動き出した。コロンが頭を上げた。
 倒れていたコロンが、頭を押さえて起き上がった。そして、キョロキョロと辺りを見回した。頬に頭から流れた血の筋が付いている。
 コロンは言った。
 「……何が、どうなっているの?」
 暗黒騎士は言った。
 「コロン大丈夫?」
 スカイは暗黒騎士に怒鳴った。
 「お前がコロン姉ちゃんを殴って、膝蹴り入れたんだよ!」
 暗黒騎士は言った。
 「そんなことするはず無いでしょ。私たち友達だもん。ね、コロン」
マグギャランが「斬魔剣パラデイン」を鞘に収めてやって来た。
 マグギャランは言った。
 「スカイ、いったい何が在ったんだ。オレが死にかかっている間に何が起きたんだ。キステリの剣「連れ散れの花びら」が、ぶった切れて、黒い炎の模様が着いて落ちている。何が在った」
 スカイは言った。
 「オレも良く覚えていないんだ」
マグギャランは言った。