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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 キステリは指をパチンと鳴らした。
 辺りから、突然ダンス・ミュージック系のテンポの速いメロディーが、サビ抜きで鳴り響いてきた。微妙に古い気がした。
スカイは音の源を捜した。
 スピーカーが2つ付いた機械を持っている奴が居た。やっぱりシュラーヤやキステリと似たような服を着ている。
 キステリは言った。
「この音楽は、私が自分のテーマ・ソングとして、ヒマージ王国の作曲家トアム君に作らせた曲だ。二人の花嫁を娶る決闘の場には、この私の繊細な心の変化を綴った魂の迸りであるポエムを元にした、この曲こそが相応しい」
全然繊細じゃねぇよ。
 スカイはテンポの速いダンス・ミュージックを聴きながら思った。
砂時計がシュラーヤやキステリが着ているのと同じような服を着ている男によって持ってこられた。背中には巨大な金槌のような武器を背負っている。
 マグギャランは言った。
「スカイ、覚悟しろ。クロン・キステリは「超ケダモノ」軍団の幹部、六本頭の一人だ。別名「鮮血の舞踏者」。「惨劇のキステリ」と呼ばれる。高名な剣の達人だ。明らかにラメゲ、暗黒騎士、シュラーヤより格上の強敵だ」
 スカイは言った。
 「へ、気にするなよマグギャラン。ドラゴンのダンジョンを制覇した俺達の方が、よっぽどもスゴイぜ」
黒炎刻を背中に担ぐように両腕で持って構えた。
マグギャランは言った。
「俺は、左から攻撃する、スカイ、お前は右から攻撃しろ。コロンは援護しろ」
キステリは「連れ散れの花びら」を指でグルグルと回し始めた。
エメランが叫んで腕を振り下ろした。
 「勝負開始!」
 スカイとマグギャランは剣を振りかぶったまま走り間合いを一気に詰めた。スカイは背中に担いだまま。マグギャランは刃に左手を当てた構えのまま走っていった。
 キステリは突然奇妙な踊りを踊り出した。
 スカイの後ろから、コロンの援護のエネルギー・ミサイルが何本も飛んできた。
 キステリは奇怪な歩法をしながら、腰をツイストさせて踊りながらコロンのエネルギーミサイルを避けた。
スカイとマグギャランは同時に剣を、キステリに撃ち込んだ。
 スカイは横殴りの袈裟切り。
 マグギャランは突きを放った。
 キステリは「連れ散れの花びら」でスカイと、マグギャランの剣を受けた。
キステリは言った。
「ぬるいよ君達」
 キステリは、そう言うと、「連れ散れの花びら」を引いた。スカイとマグギャランの上半身が引きずられた。そしてキステリは奇怪な歩法で後ろに二、三歩下がった。スカイとマグギャランは前に二、三歩進んだ。
 スカイは叫んだ。
「な、何だ!」
 マグギャランも上ずった声で言った。
 「わ、判らんぞ」
 キステリは
 「この程度の技に掛かるとは愚かな。これは「犬の散歩」という受けの技なのだよ」
キステリは左腕を振って踊りながら言った。
突然キステリは奇怪な歩法でスカイ達の剣を離して右横に避けた。
炎が真っ直ぐ伸びてキステリの居た場所を焦がした。
 キステリは「連れ散れの花びら」を振り回して踊りながら言った。
 「援護は来るようだが、あの魔法使いは殺す気がないようではないか。撃つ場所を教えているし。直接当てる気は無いようだね」
 まずい、コロン姉ちゃんの弱点を一発で掴まれた。
マグギャランは剣を構え直しながら言った。
「スカイ、奴は一度に2方向から剣を撃ち込まれても同時に奇妙な技を掛けられる達人だ。手の打ちようが無いぞ。明らかにシュラーヤ、暗黒騎士より格上だ」
 スカイは言った。
 「へっ、それなら、剣で受けられないように剣のリーチの外の別方向から一度に切り込めば良いんだよ」
咄嗟に思いついた作戦だった。
 マグギャランは言った。
 「おおっ、スカイ冴えているぞ。かなり卑怯だが」
 スカイは言った。
「そんじゃ、俺は後ろから攻撃する」
 スカイは「連れ散れの花びら」と左手を振り回して踊り続けているキステリの後ろに剣を構えたまま回り込みながら言った。
「成る程、数の多さを利用した方法ではあるが元、六本頭の私に通用すると思うのかね」
キステリは「連れ散れの花びら」を持ったまま踊りながら言った。
スカイはマグギャランに指で合図を送って駆けだした。
マグギャランも駆けだした。
 スカイはコロンを呼んだ。
 「コロン姉ちゃん!」
 エネルギー・ミサイルがマグギャランの、いる方角の後ろから飛んできた。
キステリは奇怪な歩法をしながら、腰をツイストさせてコロンのエネルギー・ミサイルを全弾避けた。
避けきった所にスカイは横殴り一撃を送り込んだ。マグギャランも横に剣を払った。
キステリの身体が消えて見えた。「連れ散れの花びら」を使ってまたも、スカイとマグギャランの剣を受け止めていた。
 キステリは踊りながら言った。
「ふむ、まだ、気が付いていないようだな。タビヲンには柄の双方に刃の付いた剣「双頭竜剣」が在るのだよ。「連れ散れの花びら」は、その受けの剣理「切羽止め」で運用されている。ただ六枚の刃が付いているわけではない。六枚の刃が六の六乗の46656%の防御率を発揮するのだ。つまり鉄壁の防御を誇る」
キステリは「連れ散れの花びら」と左腕を振り回して踊りながら言った。
 そしてスカイとマグギャランの剣を外した。
スカイとマグギャランは剣を引いた。
 そして左右から同時に突きを放った。
スカイの黒炎刻とマグギャランの「斬魔剣パラデイン」の刃は噛み合わさった。キステリは奇怪な歩法で少し下がったのだ。その距離は、まさに紙一重であった。
スカイと、マグギャランの噛み合わさった剣は離れて、黒炎刻はキステリの足を払い、「斬魔剣パラデイン」はキステリの首を払った。
 キステリの「連れ散れの花びら」のリーチの外からの同時攻撃だった。
だが、黒炎刻の刃はキステリのブーツに踏んづけられて地面に埋まり、「斬魔剣パラデイン」の刃はキステリの肘まである革の手袋で覆われた人差し指と中指の間で止められていた。
 キステリは言った。
「判らないのかね。剣で切羽止めを掛けられると言うことは指の先でも靴の裏でも「切羽止め」を掛けることが出来るのだよ。私は鼻の先や舌の先でも「切羽止め」を掛けることが出来る」
辺り一面に4つの方向から炎の火柱が上がった。そしてそれはドーム状に伸びていった。
コロンの火炎魔法の大技が始まった。
コロンは牽制のエネルギー・ミサイルや火炎槍では無い。大技を使う、つもりのようだった。
 スカイとマグギャランは合図して。キステリの回りで牽制の斬撃を放った。
キステリは「連れ散れの花びら」と左腕を振り回して踊りながら回転してスカイとマグギャランの斬撃を次々に受けていった。
同時に攻撃を出すよりも、僅かに時間を遅らした方が効果的な様だった。
マグギャランも気が付いた様だった。
 スカイとマグギャランはコロンの炎の魔法の範囲が狭まってきていることに気が付いた。そして離れた。コロンの炎の魔法がキステリの回りを囲った。