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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 エメランは言った。
「ほら」
 エメランはキステリに鍵の束を放った。
キステリは手枷と足枷の鍵を、剣の居合い抜きで切り捨てた。
何やって居るんだ?
 スカイは見て思った。
 エメランは言った。
「キステリ。娘は2人とも、くれてやる」
はあ?スカイは呆れた。
何を言っているのか理解が出来なかった。
スカイは咄嗟に口が動いた。
 「ちょっと、何言っているんだよ、お前。そりゃ不味いだろう」
キステリがセクシーボイスから野太い声に変わって言った。
「ごっつあんです」
 マグギャランも、しどろもどろに言った。
「そ、そうだぞ、今まで子供の味方のフリをしていて急に裏切るなど親の風上に、おけんぞ」
 エメランは厳しい目で暗黒騎士とシュラーヤを見ていた。エメランは言った。
「この2人は役立たずの要らない子供達だ。
戦わなくても、我々が到着するまでの間、財宝を守ることは出来たはずだ。生兵法は怪我の元とは良く言った物だな」
 スカイは言った。
「いきなり、何言っているんだよ!」
 マグギャランは言った。
 「そうだぞ!」
エメランは言った。
「シュラーヤとトパジアとて覚悟は出来ていただろう。この三人組に捕まった時点で失敗は失敗だ。失敗に弁解の余地は無い」
エメランは言った。
「シュラーヤ、トパジア、宝箱を持て」
キステリが言った。
「いや、新郎が貞淑で柔和な新妻二人に命令を出すべきではないかエメラン」
エメランは言った。
「好きにしろ」
 キステリは言った。
 「お前達二人の女共が仕えるべき夫は、今から、この私、メロア・キステリだ。さあ宝箱を持て妻達よ」
 シュラーヤと暗黒騎士は無言のまま宝箱を持ち上げた。
 エメランは言った。
「やはり、お前達はダーナやミシュカに比べると劣るな。粗暴なだけの、お前達では侯爵家を切り盛りする事は出来ないだろう。キステリの側室ぐらいが丁度良い」
キステリは言った。
「だから、私は言っているではないか。友として君の娘を二人同時に娶ると」
 エメランは言った。
 「ああ、だから、くれてやる」
 キステリは言った。
 「初夜は如何に趣向を凝らすべきか」
エメランは言った。
 「冒険屋、オマエ達三人も来い」
 スカイは言った。
 「何だよ、俺達から、十五億ネッカー(150兆円)の、お宝を奪って今度は何を奪うつもりだよ」
 エメランは言った。
 「タビヲンの儀式だ。オマエ達三人は付き合わなければならない。まあ、来い、来なければ死ぬことになるぞ」
 スカイは後ろを見た。
 黙っているシュラーヤと暗黒騎士が宝箱を二人で運んでいた。
 スカイは言った。
 「何だよ、その儀式って」
 エメランは言った。
 「来れば判る」
 そしてエメランは扉を開けて、階段を下りていった。
 一階では、閂が外されていた。
 そして、スカイが首を曲げて、詰め所の中を覗くと、誰も居なかった。
 黙ってスカイ達とエメラン、キステリ、暗黒騎士とシュラーヤ達は外に出た。
 外では、騎馬の軍勢が整然と並んで居た。騎士の鎧やキステリやシュラーヤと同じデザインの制服、様々な変わった形をした剣や戦斧や槍、などの武器を持っていた。
 その前に、スカイ達が閉じこめた。シュラーヤと暗黒騎士が連れていたパンクな格好をした詰め所の兵士達十三人が集められた。皆、青い顔をしている。「超ケダモノ」軍団の騎士や剣士達が、一人一人の首筋を掴んでいる。
そして朝の太陽の光を浴びて輝く抜き身の剣を持っていた。
 コロンがエメランを見て言った。
 「……あの捕まっている人達は、どうなるの」
エメランがコロンの方を向いて言った。
 「処刑をする。娘達の罪に連座する事になる」
 コロンは首を振って言った。
 「……やめて」
 スカイも言った。
 「悪いのはシュラーヤと暗黒騎士だろう。アイツ等まで殺す必要はねぇだろ」
 エメランは言った。
 「甘いな。軍隊には規律が必要だ。シュラーヤとトパジアの部下達だ。だから、連座する事になる。そして処刑する」
 スカイは言った。
 「ヒデェな。タビヲン人同士だろう」
 エメランは言った。
「これから行う儀式で、オマエ達が、どれだけ出来るかだ。オマエ達がオマエ達の正義を貫くなら。オマエ達が示せ」
突然キステリが声を張り上げた。
「見よ!この女達を!浅はかにも、異国人の男達に捕まり辱められ!肉奴隷となった無惨な姿を!こんな女達はどうするべきか!」
キステリは外に出てスカイとコロンがエメランと話している間にシュラーヤと暗黒騎士の手枷の鎖を両手で引っ張って引きずるように大股で歩いて「超ケダモノ」軍団の騎馬二千騎の前に来ていた。
 マグギャランは動揺した声で言った。
 「ま、まさに鬼畜。これが鬼畜三将軍の一角を成す「超ケダモノ」軍団なのか。こんな大勢の前で平然と嘘八百を並べ立てられるのか」
 エメランはマググランに言った。
「そこの坊や、言葉に気を付けた方が、いいぞ。我々を鬼畜と呼ぶ奴は敵になるのだ。人聞きの悪いことを言うな。タビヲン王国はイメージ・アップ・キャンペーンを国を挙げてやっているのだ」
スカイは言った。
「ぜってー無理だよ。俺、色々、悪い噂、聞いてるぞ。負け癖4王国で、オマエ達が何やっているか聞いて居るんだよ」
イネンシ王国、ガヒィ王国、ボクハイ王国、ムヘコ王国の4つの国はタビヲン王国に毎年のように略奪される事から負け癖4王国と呼ばれていた。そして、タビヲンの連中は略奪する際に、やりたい放題、ちょっと口に出せないような事を散々やって去っていくらしい。
 エメランは言った。
「だから、そう言う根拠無根な噂を無くすためにやっているのだ」
嘘だ。ゼッテー嘘だ。スカイは思った。
キステリは真面目な顔で言った。
「私は恐い男だと。言っているだろう。やると決めた事は必ずやり遂げる」
エメランが他人事のように言った。
「仕方が無いだろう、お前等が、シュラーヤとトパジアを縛っていたから、こうなるんだ。シュラーヤとトパジアがヘルメットを被って居ると思ったんだが。顔など見せるからキステリの病気が始まったんだ。まあ、いつもの事ではあるが」
スカイは言った。
「もう少し心配しろよ。自分の娘だろう。お前が見捨てて、どうするんだ」
 エメランは荒れ地に置かれたスカイ達の宝箱を見ながら言った。
 「大した事ではない。財宝を確保することが我々の軍事目標だ。この十五億ネッカー(150兆円)の財宝より、この私の娘達二人に価値が在ると思うのかね。そして、この「超ケダモノ」軍団の将軍である私から、与えられた任務を失敗したのだ。処断はタビヲンの流儀で行わなければならない。この場で、部下の兵士達と一緒に娘二人の首を刎ねて殺しても構わないが、キステリが欲しいというのならくれてやる。これも情けだ」
 キステリが大声で「超ケダモノ」軍団、二千騎の前で言った。