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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「最後に俺に振るなよ」
キステリは言った。
「だから君に言っているのだよ」
 キステリはスカイを真面目な顔で見ていた。
エメランは、折れたシュラーヤの大カミソリの刀身を拾った。そして、それを投げ捨てた。
 エメランは言った。
 「どうやら、娘達と戦ったようだが。大した事は、なかっただろう。この程度でタビヲン剣士の実力と思われるのもシャクに障るな。往年のタビヲン王国「超ケダモノ」軍団の実力をキステリが見せてやるかな」
 シュラーヤと暗黒騎士は頭を下げていた。
 スカイは言った。
 「なんで、こんな変態野郎を連れて来るんだよ。檻の中に入れておけよ。俺なんか、何もしていないのに殴る蹴るの暴行を受けて鎖で、ふん縛られて檻に入れられたんだぞ」
 キステリは言った。
「失敬な、私は常に檻に囚われている」
 スカイは言った。
 「野放しじゃねぇか。俺は、昨日から、ついさっきまで檻に入れられたんだよ」
キステリは言った。
 「私が囚われている檻の名は恋。この狂おしき、恋のやるせない衝動が、私を突き動かしている。私は囚人、恋の女神の牢獄の囚われ人。おおっ良いポエムが浮かんだ書き留めねば」
 キステリはうっとりした顔で左手を胸に当てて、右手を伸ばしていたが。突如、手帳と羽ペンを服から取りだして何かを書き始めた。
 エメランは言った。
 「キステリを連れてきたのは、オマエ達が、もう少し、話の通りにくい奴等だったときに腕づくで納得させる為に用意したんだ」
スカイは言った。
 「お前は戦わないのかよ」
 エメランが、面白く無さそうな顔をして言った。
 「もう少し、口の効き方を覚えた方が良いぞ小僧。だが、教えてやろう。タビヲンの三軍団の軍団長は簡単に剣を振るうことはないんだよ。剣を振るうときは殺すときのみだ。恐怖、暴虐、非道の3つの徳目がタビヲン三軍団の長には求められている。だから、おまえ達が生きていたかったら、私に剣を振らせない事を考えろ」
スカイは言った。
「成る程、それで、この変態を連れてきたのか?」
エメランは言った。
 「ああ、そうだ。コイツは以前の裏切りの罪がチャラになって、最近、宙ぶらりんになっていた状態から爵位と領土が戻ったんだ。コイツは何をしても不思議に思われないから名もない冒険屋の剣の相手をしても不思議に思われない訳だ。コイツの恋の病と言うことにしておけば丸く収まる。だが、爵位がある、他の剣士は出すわけにはいかない。家の家名と体面が在るからだ。ただ、コイツが私の娘達に興味を示すとは予想外だったな。まあ不思議でもないがな」
エメランはシュラーヤと暗黒騎士を見ながら言った。
 キステリが言った。
「丁度食べ頃ではないか。貸してくれよエメラン。今、恋が芽生えた」
 エメランは言った。
 「歳の差幾つだよバカ。この変態野郎ぺっ、ぺっ、ぺっ」
 エメランは笑っていた。
 キステリは言った。
 「恋に歳は関係ないという。いいだろうエメラン。貸してくれよ」
 キステリは子供が、ねだるような声を出していた。
マグギャランがスカイを呼んだ。
 「おい、スカイ」
 スカイはマグギャランに言った。
「何だよ」
 マグギャランは言った。
 「俺は、端から見ると、あんな風に見えるのか」
 マグギャランは青い顔をしていた。
スカイはフォローしながら言った。
「まあ、あそこまで酷くはねぇな」
 マグギャランは力のない声で言った。
「そうか。そうだよな。あれは、ちょっと異常だ」
エメランは言った。
 「オマエ達が手に入れた、財宝は、タビヲン王国が貰うことになる」
 スカイは言った。
 「俺達の宝物だ」
 マグギャランは言った。
「そうだ、我々はドラゴンのダンジョンで苦労して手に入れたのだ」
エメランは言った。
「物が物だからな、関所の通行税と言うような訳には行かぬだろう。全部、タビヲン王国が貰うことになるだろうな」
 エメランが意地の悪そうな顔をした。
スカイは言った。
「俺達の物だ!」
 マグギャランは言った。
 「そうだ、我々の物だ」
エメランは言った。
「いや、タビヲン王国が貰う。この条件を呑めば命ぐらいは見逃してやる。十五億ネッカー(150兆円)を国庫に納めてくれるんだからな。殺したらバチが当たる」
エメランが笑顔のまま言った。
キステリが前に出てきた。
「私は恐い男だぞエメラン。やると決めたことは必ずやり遂げる。エメラン、お前の娘二人は。男のようなナリをして、男と戦って破れたではないか。それも外国の男二人にだ。その鎖に繋がれた不様な姿、見るに耐えられん。蹂躙され、汚され、貶められ肉人形にされた後の調教され終えた雌奴隷となった姿に違いない。嘆かわしい、実に嘆かわしい」
 キステリは眉間を押さえて首を振りながら言った。
 スカイは叫んだ。
 「そんなことしねぇよ!」
 マグギャランも叫んだ。
 「そうだ!当然だ!騎士道に、もとることは出来ん!当方双方合意の上!しかも年齢制限20歳以上!」
キステリは言った。
「本当に何もしていないのかね。一人はフェロモンで、一人は、お嬢様だよ。君達それでも男かね。嘘は、いかんな」
 キステリは溜息を付いて目頭を押さえながら首を振って言った。
 スカイは叫んだ。
 「だから、こんな、じゃじゃ馬二人に何にもしねぇよ。俺達の方が昨日散々蹴っ飛ばされたんだよ」
 キステリは言った。
 「本当かね」
 マグギャランは言った。
「あぁ、そうだ。剣や魔法で暴れ回るから捕まえたんだ。俺達の財宝を奪い返す為には仕方が無かったことだ」
 キステリは言った。
 「成る程、それでは、私が汚されていないか身体を張って確かめてこよう。じゃあエメラン借りるよ」
キステリは何か考えるような深刻な顔をして、シュラーヤと暗黒騎士の方へ歩いていった。
 スカイは言った。
「俺達を利用するんじゃねぇよ」
キステリは言った。
 「愚かな、このような策も見破れんとは。恋の手練手管とは、あらゆる物を利用するのだよ。なりふりなど構わぬ一途な思いが在るからこそ真剣な純愛の世界は光輝くのだ」
 キステリは頭を振って溜息を付きながら言った。
スカイは言った。
「お前が純愛って言うなよ」
 純愛という言葉が酷く傷つけられた気がした。
 キステリは言った。
「エメラン、庇って居るのではないか、怪しくはないかエメラン。君の娘二人はタビヲン男以外とデキているようではないかねエメラン。いかんぞエメラン。しっかりしろエメラン。どうしたんだエメラン。私に任せろエメラン。よしきたエメラン。OKだエメラン」
キステリは、しつこくエメラン、エメランと言った。
エメランは、つまらなそう顔をしていた。そして言った。