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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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良い名だ。
 スカイは満足した。
 暗黒騎士が言った。
「それは、お前が弱いからだ。弱いから努力が必要なのだ。そして苦労したから強くなったと自分に言い聞かせて虚勢を張るのだ。何もしないで強い人間が一番強いに決まっている」
剣を撃ち合わせる音が鳴った。
 マグギャランとシュラーヤが剣を交え始めたのだ。
 立て続けに何度も剣戟の音が続いた。そして止まった。
 マグギャランは言った。
「どうやら、宗家と祭り上げられているだけの腕前だったようだなシュラーヤ。「闇剣」見切ったり」
 シュラーヤは言った。
「なぜ、「闇剣」が破れた」
 マグギャランは前髪を、かき上げた。
 マグギャランは言った。
 「簡単な事だ、ラメゲとの斬り合いで、俺が一方的に「無限切り」で切られたのは、剣と剣の接触時間が長かったからだ。「闇剣」術の理合いとは正中線を打ち込み側に気づかせずに奪うことであったと俺は読んだ。だからラメゲとの戦いでは正中線の奪い合いで俺は負けていて先攻でありながら常に後の先のカウンターを取られていたのだ。だが、俺はバラン流を破るための秘策として、剣と剣の接触時間を徹底的に少なくして剣と剣を弾くように素早く撃ち合うだけにしたのだ」
 シュラーヤは悔しそうな声で言った。
「バラン流は柔の剣、剛の剣で破るとは男らしいやり方だ」
 マグギャランは言った。
 「ふははははははは!これぞメンズ・パワーなのだ!」
マグギャランは調子扱いていた。よっぽどラメゲに負けたことがトラウマになっていたらしい。
シュラーヤは言った。
「三本剣で止まったというならば、これは避けられまい。バラン流皆伝技「猫の八方睨み」を。見たことは無いはずだ」
 マグギャランは言った。
「「猫の八方睨み」だと。怪しげな妖術、外道放下流の類の邪剣だな。騎士道を体現する気品と風格を有する我がユニコーン流の敵ではない」
 途端に、スカイの目の前が真っ暗なった。
 そして、そこら中から見られているような奇妙な感覚が襲ってきた。
 足を動かそうとしたら動かなかった。
まさか金縛りなのか?
 暗黒騎士の声が暗闇から聞こえた。
「シュラ姉、得意の「猫の八方睨み」だ。どうやら掛かったようだな。これを掛けられると半径20メートル以内に居る人間は、猫の前のネズミと同じように動けなくなる。あのウジ虫は首を刎ねられて終わりだ。私は、動けるがな。天才だから効かないのだ」
暗闇の中で暗黒騎士がスカイの前で意地の悪そうな笑いで笑った。そして剣を振りかざして近づいてきた。
 真っ暗な虚空の中で人だけが浮かんで見えた。
ちょっと不味いぜ。絶体絶命のピンチじゃねぇか。
 だが、スカイの握っている黒炎刻から、力が流れ込んできた。スカイの身体を襲っていた金縛りが解けた。
 暗黒騎士は言った。
「死ねバカ」
 暗黒騎士が無造作にスカイに向かって剣を振り下ろした。
 暗黒騎士の斬撃をスカイの黒炎刻は下から掬い受けるように受け止めた。
 暗黒騎士は言った。
「何?猫の八方睨みを破ったのか」
 暗黒騎士が手首を返して剣を構え直した。
 スカイは叫んだ。
 「おい!マグギャラン!」
マグギャランは動けないはずだ。
いや?何か変な声が聞こえてきた。
マグギャランは言った。
「メンズ・パワー。メンズ・パワー。メンズ・パワー……」
マグギャランが念仏を唱えるようにメンズ・パワーと繰り返し言い続けた。
そして「斬魔剣」をブンブンと振り回し始めた。
 マグギャランは大声を張り上げた。
 「効かぬわ!」
 シュラーヤが言った。
「バラン流大カミソリ術、皆伝技「猫の八方睨み」が破れたと言うの」
シュラーヤが狼狽して後ろに跳んで下がった。途端に辺りを覆っていた。虚空に浮かんで四方八方から睨まれているような感覚が消えた。
 マグギャランは言った。
「メンズ・パワー爆発!チェストォ!」
マグギャランは逃げるシュラーヤを追いかけて上段から「斬魔剣」を振り下ろした。
金属音が走った。
 シュラーヤの大カミソリがマグギャランの「斬魔剣」に折られた。
 シュラーヤが叫んだ。
「私の「皮削ぎ」が!」
 マグギャランが言った。
 「ふっ、女が剣なんぞ手にするモノではない。家事でもしていろ」
 マグギャランは自分の前髪を指で跳ね上げてセクハラ発言をして言った。
 スカイは言った。
 「おい、マグギャラン!手が空いたら、こっちの、バカ女の手伝いをしろ!」
スカイは暗黒騎士の剣技に押されながら、後ろに後退していた。暗黒騎士はスカイより上背が在るから、リーチが長かった。その上、おかしな剣の技を使っていた。
 暗黒騎士は苛立たしそうに言った。
「えーい!チョコチョコ!逃げ足が早い!お前は剣の腕は、からっきしダメなのに、逃げ足だけは超一流だな!」
 暗黒騎士がスカイに向かって剣を振りながら言った。スカイは暗黒騎士の間合いに入る前に逃げ出した。それの繰り返しだった。おかしな技を使ってくるから掛かる前に逃げるのだ。
 マグギャランが言った。
 「判ったぞスカイ!加勢するぞ!タビヲン剣術なにするものぞ!ユニコーン流の実力を見せてやる!今日の俺は絶好調だ!」
マグギャランが暗黒騎士に突きを放った。
 暗黒騎士がマグギャランの突きを受けながら叫んだ。
 「ちょっと待て!二人がかりか!汚いぞ!シュラ姉!援護を!」
 すかさず、スカイも横殴りの一撃を放った。
 暗黒騎士は初めて剣で受けずに飛び退いて避けた。
そこにマグギャランが短いストロークの牽制の突きを放った。そこから二連撃を放った。暗黒騎士は剣でマグギャランの二連突きを受けた。
マグギャランが作った隙を使ってシュラーヤの方を見た。
何?シュラーヤは魔法も使えるのか?
 スカイは、シュラーヤが氷結球の魔法を作っているのを視界の端で見た。
 スカイは叫んだ。
「コロン!シュラーヤを押さえろ!」
スカイは暗黒騎士がマグギャランの剣を跳ね上げた所に横から打ち込んでフォローしながらコロンに叫んだ。
ボケーッとして突っ立って見ているコロンがハッとした顔をした。そして手を開くと炎に包まれた杖が手の中に現れた。コロンは杖を横にして前に突きだした。
 コロンの背中から炎のエネルギー・ミサイルが沢山飛び出した。エネルギー・ミサイルがバラバラに飛んでいって、シュラーヤが空中に浮かべて作っている氷結球を跳ね飛ばした。
 そして、何回もエネルギー・ミサイルがぶつかって天井に氷結球が飛んでいって氷の魔力が解放された。天井は氷結球の力で氷に覆われて氷柱が垂れ下がった。
 暗黒騎士が叫んだ。
「あ、酷い、コロン!わたし達友達でしょ!」
 コロンは困った顔をした。
 スカイも叫び返した。
「騙されるなコロン姉ちゃん!こいつ等は俺達の、お宝を狙う悪党共だ!」
 シュラーヤが言った。
「私が使える魔法がフリーズ・ドライ・ボールのみだと思っているの?」
 シュラーヤが次の魔法を準備し始めた。
 氷の槍を空中に作っている。