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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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「お前も、変わった奴だなスカイ。俺が、ハーベス出身の騎士でバケモノ達を倒そうとしている秘密を喋ったんだ、お前も正直に人を殺さない理由を話せ」
スカイは言った。
 「何だ、そんな事を聞きたいのかよ。秘密でも何でもねぇよ。ウチは、人殺しが出来ない家系だって俺の姉のロザ姉ちゃんが言っているんだよ。命令なんだ」
 マグギャランは言った。
「姉の命令だと?こんな因果な、切った張ったが日常茶飯事の冒険屋稼業を、やっているんだ。そんな理由で、よく今まで、やってこれたな。そう言えばコロンも同じだな。あれだけの炎の魔法を使えるのに人殺しは絶対にしていないな」
スカイは言った。
 「まあ、それなりに頭は使って居るんだよ」
 マグギャランは言った。
「こんな状況でも人殺しが出来ないと言うのかスカイ」
スカイは言った。
 「ああ、そうだよ」
 マグギャランは言った。
「それなら、自分が殺されてもか」
スカイは言った。
「まあ、そう言うことになるな」
 そう言う風にロザに言われているのだ。
マグギャランは言った。
「呆れた家だな。平民のくせに宗教家か道徳家のような変な家訓が在るとはな。まあ、仕方がない、お前が剣で殺す気が無いなら別の方法を考えるしかない」

「父上、ナラシダ街道のルビサ村付近で、ターレン王子一党のマグギャランを見かけたという報告を受けてコモンから来た三人組を捕獲しました」
暗黒騎士は薄暗い部屋の中で、窓を開けて窓枠に片足を乗せて座りながらトランシーバーに向かって話していた。
シュラーヤはコロンと話している。
シュラーヤは口先が上手いから騙すのは得意なのだ。きっと色々な情報をコロンから引き出しているだろう。スカイとマグギャランとコロンを分けたのは、後でスカイと、マグギャランをコロンが居ないところで尋問するためだった。そして友好的に振る舞うことで信頼を得たコロンの話と突き合わせれば、情報の真贋を推測することが出来るわけだ。タビヲン貴族が、いつの間にか身につける処世術というものだ。身につけられなかった人間は消えて行くだけだ。
 暗黒騎士のパパは言った。
「ほう、そうか。だが、違うだろう。サフィアは頭が悪いから。密偵を送るような才覚は無い。そんな用事で私を呼び出すな。クトイハ領の事はアステアに全部任せてある。私は宮廷内の事で忙しい。ヨーアックの侯爵領も政変で手に入れたから、引継の事務処理が大変なのだ」
 暗黒騎士は、慌てて言った。
「それだけではないのです父上。そいつ等は十五億ネッカー(150兆円)相当の財宝を持っていたのです」
暗黒騎士のパパは言った。
「何?十五億ネッカー(150兆円)だと?何処から十五億ネッカー(150兆円)という馬鹿げた金額が出てきた。タビヲンの年間予算を大幅に超過している膨大な金額だ?たった三人のコモン人が、どうして、そんなに大量の金か銀を運んだ。人を雇って荷馬の隊商にでも積んでいたのか?」
暗黒騎士は言った。
「たった一箱の宝箱の中に、不思議な力を持つ指輪などが入っていました。その価値が時価総額十五億ネッカー(150兆円)相当だと中に同封されている紙に書いてありました。実際、シュラーヤ姉様が、指輪を持った途端に、不思議な威圧するようなカリスマが身体から吹き出しました。他のアイテムにも同等か、それ以上の力が在るはずです。二人の剣士は、かなり古風な値打ち物と見える剣を持っていました」
 黒い刃の剣の事は言えなかった。恐くて思い出すことも嫌だった。スカイは目つきの悪いバカにしか見えなかったが、あんな恐ろしい剣を持っている気味の悪い奴だった。
 暗黒騎士のパパは剣の話しをすると興味を持ったような声で言った。
 「そんな、物を持っていたのか。何処から来た」
 暗黒騎士は言った。
 「混沌の大地の向こうの無踏荒野からです」
 暗黒騎士のパパは驚いた声を出した。
 「無踏荒野だと。無踏荒野から帰ってきた人間は誰もいない。出任せを言うな」
暗黒騎士は言った。
 「そう言っているのです父上」
暗黒騎士のパパは言った。
「成る程、ガバメント・ガバナーズの号外版に載っかっていた冒険家のパーティが、もう一組居たとはな。だが、あり得ない話ではない。シュド達は三人で、お前が捕まえたコモン人も三人だ。足せば六人で、冒険屋のパーティのメンバー編成としては、おかしくない編成だな。そうか、そう言うことか。それでは、これよりタビヲン王国三軍団の1つ私の「超ケダモノ」軍団を動かす許可を鬼面丞と国王陛下からとり、そちらに向かう。騎馬だけにした方がいいだろう。今、集められる手勢は無線で連絡を取ってタビヲン各地から集めても到着するまでには二千騎が、やっとか。ナラシダ街道を使って夜通し馬を走らせても到着するのは明日の午前中になるな。冒険屋を甘く見るなよ。奴等は、一対一の決闘とかには拘らずに、結果だけ持っていく強欲な連中だ、しっかり見張っていろ。財宝を奪われるような失態は決してするな。十五億ネッカー(150兆円)の財宝はオマエ達二人の命では購いきれない金額だ」
暗黒騎士は言った。
 「判りました父上。父上は魔法が得意ですよね」
 暗黒騎士のパパは言った。
 「ああ、そうだ。それがどうした。これから戦の準備だ、忙しい。私に余計な事を話しかけるな。無線を切るぞ」
暗黒騎士は、慌てて言った。
 「実はですね。捕らえた三人組の一人の魔法使いが、一度作った火球を元に戻したんです。そんなこと出来ませんよね父上」
 暗黒騎士のパパは言った。
 「サフィアは出来るぞ。だが、それは禁術だ。必ず暴発する魔法で誰もやらん。コントロールの仕方が判っていないのだ。個人の才覚任せとは言え、その魔法使いは油断できんな。無踏荒野から帰ってきたという話にも信憑性が出てくる。しっかり見張っていろ。それでは交信を切る。何か在った場合以外では連絡は入れるな」
 そして、トランシーバーは切れた。
 暗黒騎士はフラクター選帝国の女学校フラクター中等女学院に留学した頃を思いだした。コロンには、あの頃の友達と同じようなコモンの優しい雰囲気があった。だが、所詮は、タビヲン王国の貴族に生まれた人間は心を鬼にしなければ生きていけないのだ。それがタビヲン王国という過酷な超自然環境の国に生まれた者の定めだったのだ。
 嘘つきのルシルスは、スカイ達を騙していたのだろう。得意な嘘が二重人格のフリをすることだった。そしてルシルスと言う人格のフリをしている時に貯め込んだストレスをサシシ・ラーキという人格のフリをしているときに発散しているのだ。
シュラーヤも嘘つきだ。
 ミシュカも嘘つき。
 セルラも嘘つき。
 ダーナも嘘つきだった。
 それでもタビヲン王国で生きて行くには仕方が無かったのだろう。それがタビヲンの習いだからだ。姉のダーナとセルラはコモンに出ているが。その方が幸せなのかも知れない。クトイハの家は容姿だけは苦労はしない家系だからだ。
暗黒騎士は顔に笑みを浮かべた。