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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 シュラーヤが言った。
 「どういうことですか、コロンさんは、あなた方の仲間なのでしょう?」
スカイは言った。
 「そうだよ」
 マグギャランは言った。
 「まあ、コロンが低レベルだった頃からの仲間でもある。俺達が、コロンをドラゴンのダンジョンでも通用する一人前の魔法使いに鍛え上げたのだ」
シュラーヤは言った。
「それなら、何で、コロンに宝箱の中身を教えていないのですか」
 暗黒騎士がスカイ達を指で指さして言った。
 「あ、判ったぞ、コロンに宝箱の中身あげる気が無いんだ。コイツラ、さっき、二人で宝箱を抱えて逃げ出したもん。仲間なのにコロン置き去りにした」
 スカイは言った。
「まさかな、そんなこと無いよな」
確かに、あの時は、スカイは、宝を全部独り占めに、する気だった。コロンの取り分など、すっかり忘れていた。
マグギャランは言った。
 「そうだ、そんなことはない。冒険屋のルールは人数で報酬を割って分ける物だ。俺達は旅の仲間だ」
 暗黒騎士が言った。
「それなら、何で、コロンを置き去りにしたんだ」
マグギャランは言った。
「あれは、不可抗力なのだ」
 暗黒騎士が言った。
「やっぱり、コイツ等、ウジ虫だ。ウソ付いている」
 マグギャランがスカイに振った。
 「ウソではない。な、スカイ」
スカイは言った。
 「ああ、そうだよ」
 大ウソだった。
 まあ、いいよな。
 シュラーヤが言った。
「一体、中には何が入っているのですか。金貨ですか?それじゃ開けますよ。コロンさん、よろしいですか?」
 コロンは首を傾げていた。
 暗黒騎士が宝箱に近づきながら言った。
 「コロンも知らないんだから蓋を開けて中身を確かめればいい」
 シュラーヤが宝箱の蓋を開けようとした。
くそっ、俺の宝箱をベタベタ触りやがって。
 シュラーヤが宝箱の蓋を開けようとして言った。
 「開きません」
 暗黒騎士が言った。
 「どうやら鍵が必要なようだな。コロンは持っていないの」
コロンは頷いた。
暗黒騎士はスカイとマグギャランを見た。
 暗黒騎士は言った。
 「宝箱の鍵を持っているだろう」
 スカイはシラを切ろうとした。
「さあ、知らないな」
 マグギャランはスカイに目配せした。
「スカイ、どうせ、中身を見られても価値など判りっこない。見せるのも手だぞ」
 何か企んでいるな。
 スカイは納得して頷いた。
 暗黒騎士が言った。
 「おい、このウジ虫共、何を相談している。タビヲン王国の拷問はハンパないぞ。拷問吏の国家資格も甲種乙種があるんだ」
スカイは言った。
「判ったよ、鍵は俺の首にチェーンで掛けてある」
 暗黒騎士は言った。
 「ふーん、やけに素直だな。まあ、いい。手間が省ける」
 暗黒騎士が近づいてきて、スカイの後頭部を踏みつけて顔を床に押しつけた。
 スカイは変な声を上げた。
 「うげっ」
スカイの首筋に暗黒騎士の革の手袋で覆われた手が掛かった。
 スカイの背筋に悪寒が走った。
 暗黒騎士の声がした。
「どれだ?これか」
 スカイの首から宝箱の鍵のチェーンが引っ張られる感触が伝わった。
 そして、スカイの胸の辺りを通って鍵が動いていった。
 スカイの喉に鍵が引っかかった。
 暗黒騎士が言った。
 「頭をあげろ」
スカイは顔面を床に押しつけられたまま言った。
 「踏んづけられた頭を、どうやって上げるんだよ」
暗黒騎士は言った。
 「まあ、それもそうだな。ほれ」
 スカイの頭から暗黒騎士のブーツが退けられた。
スカイの顎に引っかかりながら。鍵は抜き取られた。
 暗黒騎士が言った。
 「ふーん。ドラゴンの顔が鍵の柄に彫られているのか。これだけでも結構な値打ち物かな。シュラ姉、パス」
 暗黒騎士がシュラーヤに鍵を無造作に放った。
 シュラーヤは両手で鍵を受け取った。
 シュラーヤは清楚そうに見えるが、かなり運動神経は良いみたいだ。
 暗黒騎士が言った。
「コロンも来てみたら?このバカ共が何を持ち運んで、殴り合いのケンカをしていたか、確かめた方が良いよ」
 コロンが椅子から立ち上がって、宝箱を見に行った。
 スカイはマグギャランに言った。
 「本当に、いいのかよマグギャラン」
マグギャランは言った。
 「今は、様子を見た方が良いだろう、戦況は常に流動的に変化する物なのだ」
鍵が回されて開く音がした。
暗黒騎士とシュラーヤ、コロンが宝箱の回りにいた。
宝箱を両膝を付いた暗黒騎士が開けた。
 暗黒騎士が言った。
 「箱?中には、黄金で出来た小箱が一杯詰まっている?そして隙間には金貨が詰まっている?見たことのない金貨だ」
 暗黒騎士が金貨を一枚持って言った。
シュラーヤがペタンと床に座ったまま言った。
 「多分、中身を傷つけないために小箱に緩衝剤として金貨を詰めているのでしょう」
暗黒騎士が言った。
 「それじゃ、開けるよ、コロン。まず、この円柱型の箱を開けてみよう」
くそっ、俺の、お宝をベタベタと触るんじゃねぇ!スカイは内心、怒りでハラワタが煮えくり返っていた。
 暗黒騎士が驚いた声を出した。
 「うわっ!本当に、お宝物じゃない!こんな大きいルビーの塊をわざわざ瓶に加工した物初めて見た。中身は何?魔法の薬?」
 暗黒騎士が「若返りの薬(三回分)」を見て、うわずった声で言った。
 シュラーヤが言った。
「こっちは、何かしら?初めて見る金属で出来ている」
 シュラーヤが大きめの小箱から「癒しの腕輪」を取りだした。
それは、傷を治すための医療魔法が働く腕輪だった。だが桁が違った。一日に二千人までの切られたり刺されたりした傷を治療出来るのだ。
 暗黒騎士が言った。
「こっちの首飾りは、沢山の宝石が付いている。どれも見たことのない珍しい宝石だ」
 暗黒騎士が「破魔の首飾り」を取りだした。
それは透明化の魔法や、その他、合計200の呪文を破る魔法が掛かっている首飾りだった。
 シュラーヤが言った。
「こっちの小さい箱には何が入っているのでしょうか。かなり無骨なデザインの指輪ですね」
シュラーヤが持ち主に絶大なカリスマと強制的な支配力を与える「暴君の指輪」を取りだした。そして指に填めた。
 途端に、シュラーヤからカリスマが吹き出した。キラキラと光輝いて見える。それと同時に威圧するような重さを感じた。スカイは種明かしを知っているが、知らなければ、コロリと騙されるような激しいカリスマと威圧する重圧感だ。暴君の指輪は、仕組みを知った者には通用しなくなると言う欠点を持っていた。スカイはミレルから仕組みを聞いて知っているから通用しない訳だ。
暗黒騎士が震えるような声で言った。
 「お、すごいぞ、シュラ姉、ビンビン、カリスマ、オーラが出ている」
どうやら「暴君の指輪」の力のせいで暗黒騎士も威圧されているようだった。
 シュラーヤが頬に手を当てて言った。
「え、本当なのかしら?私、オーラが薄いのに」
 どうやら当人には実感が沸かないらしい。
くそっ、全部、俺の物だぞ。
 スカイは怒りで身体が震えていた。