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秘密結社ドゲッサー編第一話「オレたちが仲間になったわけ」

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 「ふーん、シュラ姉が、赤ヘル女なら、私の事を何と思っているのだ、このバカは」
巨大ヘルメット女はスカイに近づいてきて横に転がって逃げようとしているスカイの横っ面にブーツの足の裏を押し当てた。
スカイは言った。
 「そ、それは」
 スカイは何て言おうか迷った。
 巨大ヘルメット女は言った。
 「まさか巨大ヘルメット女なんて思っていないよな」
 巨大ヘルメット女はブーツの足の裏でスカイの横っ面をグリグリとやって図星を付いてきた。
スカイは言った。
 「ま、まさか」
 スカイは動揺して目をそらした。
巨大ヘルメット女は言った。
 「このバカ者め!せめてスーパー美少女と思っていろ!教育してやる!」
 スカイは、いきなり腹を蹴られた。
 スカイは言った。
 「うげっ!」
スカイは鳩尾に直撃を受けた。胃の内容物を吐きそうになった。
 巨大ヘルメット女は言った。
 「まあ、良いだろう。バカ者共、名前を教えてやる、私は暗黒騎士だ、そう覚えておけ。お前が赤ヘル女と呼んだのは姉のシュラーヤだ。おい、そこのムッツリそうなオヤジ!フェロモンA、Bとか思っていたら殺すからな」
巨大ヘルメット女こと、暗黒騎士はスカイの顔を跨いでマグギャランの方へ歩いていった。
 マグギャランはオヤジと呼ばれたことにキレたのか。鎖で縛られて床に転がされている状況を無視した事を叫び始めた。
 「何を言う暗黒騎士!まだ、二十二歳の俺を捕まえてオヤジとは、何と言うことを言うのだ!お前こそ、二十台後半だろう!そんな性格では伯爵令嬢でも嫁の貰い手が来ぬ訳だ!タビヲンでは二十歳になると負け犬の年齢だと聞いている!お前は年増も年増の行かず後家の大年増だろう!」
暗黒騎士は言った。
 「はっ!私は、十代だ、それも十代前半の十四歳だ。このエロオヤジ。全然負け犬じゃ無いんだよ」
スカイの視線の端で暗黒騎士はマグギャランに蹴りを入れていた。
 マグギャランは言った。
「は、十四?どこが十四の小娘だ、どう見ても15歳以上はサバを読んで居るぞ。コラッ!足で男の顔を蹴るな!」
 マグギャランもスカイと同じように顔に蹴りを入れられているようであった。
 暗黒騎士がマグギャランを蹴飛ばしながら言った。 
「お前の何処が男だ!このウジ虫野郎!三本剣止まりの腕の奴が男と名乗るなんて、おこがましいにも程があるんだよ!」
 マグギャランが叫んだ。
「誰がウジ虫だと!」
 ジャラ、ジャラと鎖が鳴る音がした。
マグギャランが暴れているようだった。
 そういや、ルシルスが言っていたな。老け顔の家系だって。だがスカイは賢明にも言わないでおいた。
暗黒騎士は言った。
 「オマエ達のコネ頼みは全部無効だ。誰を知っているのかと興味を持って聞いてみたが、ルー姉じゃだめだ。本当に、こんなヤツ等がドラゴンのダンジョンから帰ってきたのか」
 シュラーヤは言った。
「でも、持っている剣は二振りとも、かなりの値打ち物みたいです」
 暗黒騎士は言った。
「そうだな、どんな剣だか見てやる」
 暗黒騎士が、机に置かれたスカイの黒炎刻を手に取った。
スカイは自分の剣、黒炎刻を暗黒騎士が持っているのを見て叫びだした。
 「それは、俺の剣だ!俺の、お気に入りの剣なんだ!」
暗黒騎士は意地の悪そうな笑みを浮かべて黒炎刻を鞘ごと振った。
 畜生。なんて性格の悪い女なんだ。俺の黒炎刻をベタベタ触りやがって。
スカイは怒りで暴れたが、鎖をじゃらじゃらと鳴らすだけだった。
暗黒騎士は言った。
 「ふーん。作りは大分、古い物みたいだな」
 暗黒騎士は黒炎刻の鞘を払った、そして刀身の見た途端に固まった。
 そして目を逸らした。暗黒騎士は青ざめた顔で黒炎刻の刀身を鞘に収めた。
そしてスカイの方を強ばった顔で見た。顔が強ばると、あまり美人には見えなかった。
 暗黒騎士は叫ぶように言った。
 「恐い!何だ、この恐怖感は!こんな物をお前は持っているのか!」
スカイは暗黒騎士の反応を見てホッとして言った。
「だから、それは俺の剣なんだよ。返せよ」
暗黒騎士は言った。
 「こんな剣を、どうして持っていられるのだ。この剣は持っているだけで身体が震えてくる。まるで氷の塊を握っているようだ。立っている事さえ出来なくなりそうだ」
 暗黒騎士は投げ捨てるようにテーブルの上に黒炎刻を置いた。
 スカイは転がったまま言った。
 「何だよ、そんな事ねえよ。良い剣なんだよ。こんな良い剣を持ったことは一度もねえよ。俺の剣なんだよ返せよ」
良かった。どうやら奪われる心配はないようだった。スカイは安堵の溜息を、もらした。
暗黒騎士が震える声で言った。
「ダメだ、恐くて剣の姿を見ることも出来ない」
 シュラーヤが首を傾げて言った。
「そんなに恐い剣には見えないですけれど、どうしたのです」
暗黒騎士が頭を押さえてシュラーヤを手で制した。
暗黒騎士が言った。
「こんな剣を持っていると言うことは、オマエ達は、本当に無踏荒野を通ってドラゴンのダンジョンから帰ってきたのか?」
シュラーヤが宝箱の前で、しゃがんでいた。
「それでは、この宝箱の中身は一体、何が入っているのですか。財宝ですか」
 スカイは思わず叫んだ。
「それは全部、俺の物だ!」
マグギャランがスカイに叫び返した。
 「スカイ!それは俺の軍資金だぞ!」
 シュラーヤが頷きながら言った。
 「軍資金?お金ですか。成る程、判りました、お金なんですね、お金が詰まっているのですね。判りました。お金は大切ですからね。わたしも好きですよ、お金。お金は一杯あった方が良いですからね」
 スカイはシュラーヤに叫んだ。 
 「いや、違う!金目の物じゃねぇ!頼む!黙って返してくれ!」
 シュラーヤがルシルスみたいなジト目をして言った。
 「騙されませんよ。この中に入っているのは、お金なんですね」
スカイはマグギャランの方を向いて叫んだ。
 「マグギャラン!何考えて居るんだよ!軍資金なんて言うから金目の物だってバレただろう!」
 マグギャランは後悔した顔で言った。
「いや、不味いなスカイ。口が滑ってしまったスマン」
 暗黒騎士が青ざめた顔のままコロンに聞いた。
暗黒騎士は言った。
 「コロン、何が入っているの」
 コロンは首を傾げた。
暗黒騎士が強い語気で言った。
 「どういう事なのコロン。中身には何が入っているの。わたしに教えて」
 コロンは首を振った。
 コロンは一言、言った。
 「……知らない」
辺りが一瞬の内に沈黙した。
そういや、コロン姉ちゃん、ずーっと、魔法の呪文書と格闘して魔法の数式を書き続けていたな。ミレルの話を聞いていて中身を知っているとは思っていたが、まさか、ミレルの話を全然聞いていなかったのか?
そういや、宝の分配の話の時にも、全然、口を出さなかったし、欲が無いのかと思っていたが……まさか、何も知らなかったのか?
暗黒騎士が言った。
 「この宝箱の中身が何だか、本当に知らないのコロン」
 コロンは頷きながら言った。
 「…うん」