小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

こころのこえ 探偵奇談13

INDEX|7ページ/53ページ|

次のページ前のページ
 

こわい家



部活を終えるともう暗い。そろそろ雪が降ると言われる冬の夜空は、重い雲に覆われているようだった。郁は自転車を止めて自宅の玄関を開ける。お腹がすいた。温かいシチューが食べたい、そんな期待をこめて家に入った。

「ただいまー」

玄関で、母と女性が向かい合っていた。

「ああ、郁ちゃん、おかえりなさい」
「あ、菊川さん。こんばんは」

近所の主婦だった。じゃあまた、と彼女は母に声を掛けると軽く会釈をして出て行った。

「菊川の奥さん、なにか用だったの?」

郁はリビングのソファに腰を下ろし母を見た。菊川友代(ともよ)は、まだ三十代前半で、かわいらしい女性なのだが、今日は少しやつれているように見えた。母とは職場も同じで、年は離れているけれど仲がいいらしかった。

「お引っ越しを考えてるんですって」

引っ越し?母はコンロの鍋を温めながら、なんだか疲れたように言うのだった。

「あそこってこないだ引っ越してきたばっかりだよね?今度は旦那さんの転勤か何か?」

菊川一家が越してきたのは夏の終わりのことだったと思う。つい最近ではないか。

「なんか、ちょっといろいろあるみたいね」

母が言葉を濁すので余計に気になる。まだ小さい菊川家の一人娘の笑顔が頭をよぎった。時折道で出会うかわいらしい女の子。まだ小学校一年生だったと思うが。

「いろいろって…?」