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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

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「…一之瀬超逃げたけど。おまえ何したの」
「えっと、告白?」
「は!?」

告白!?おまえ見かけるたびに違う彼女連れてたじゃないか!

「だめですか?結構本気なんですけど」

苦笑する颯馬。心なしか、いつもの軽薄さがない。というか、自信がなさそうな笑い方だった。こんな表情もするのか、と伊吹は意外だった。

「別にひとの恋愛に口出す気はないけど…。えーと…いつから?」
「ほんと最近。一生懸命瑞くんを好きなとこが、いいなあって」

伊吹は同情する。報われなくてもいいということなのだろうか。伊吹のそんな表情を読み取ったのか、颯馬は明るく笑った。

「負け惜しみじゃなくて、郁ちゃんが俺を好きになってくれるといいなあくらいの気持ちです。癪だけど、郁ちゃんをあんな一生懸命にさせる瑞くんはすごいから」
「まあ、がんばれ…」
「はあい」

失礼します、と颯馬が去る。何だか切ないような心苦しいような気持ちになって、伊吹は見えなくなるまで彼の背中を見送ったのだった。恋愛というのは相手があることだから、うまくいくことばかりではない。誰かが思いを叶えるその裏で、涙をのみ込む者もいる。

「先輩、どうしました?なんの騒ぎ?」

瑞がひょっこり顔を出す。

「なんでもない…」

なんだかセンチメンタルな気分になり、伊吹は冬の夜空を仰いでため息をついた。



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