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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

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想いはどこへ



「なんかね、すごいおじいちゃんが来てね、お祈りしてくれたの!すっごかったんだよ!かっこよくてね!」

あれから一週間が経った。莉子の父親が回復し、お礼を持って郁の家にやってきた。両親らが話をしている間、莉子は郁の部屋に来てあの颯馬の祖父の一芝居打った日の話をしてくれている。

どうやら颯馬のじいちゃんは相当うまくやったようだ。颯馬のもくろみ通り、「もう悪いことは起きないという暗示」を莉子にかけつつ、「両親が環境を変えるきっかけ作り」をし、さらに「自分を顧みない両親が叱られたことで、莉子の満足感を引き出した」らしいのだ。

「パパもママも、あたしの為に一生懸命お祈りしてくれたんだよ!お手々合わせてね」

嬉しかったのだろう。自分のために、必死で祈ってくれたことが。あれからもう、莉子の家では一切奇妙な現象は起きていないのだという。ぴたりとやんだのだと。

(うまくいったんだ。莉子ちゃんのストレスがなくなったってことだもんね)

もう怖いことは起きないだろう。

「パパ、お仕事変えたんだよ。おうちから車ですぐのとこに」
「そっか。じゃあ、早く帰ってきて莉子ちゃんともいっぱい遊べるね」
「うん!ご飯もみんなで食べられるから、すっごく嬉しいんだ!クリスマスはねえ、みんなでおばあちゃんち行って、パーティするんだよ!」

弾けるような笑顔を見て、郁も嬉しかった。

「郁ちゃん、ありがとう!」

心満たされた少女の幸せが、家庭を笑顔にしてくれる。

(よかった…)

莉子のこの様子を、瑞にも颯馬にも颯馬の祖父にも知らせよう。きっと、喜んでくれると思う。

(…でも、やっぱまだ須丸くんとうまく話せないんだよなあ…)

どうも意識してしまって駄目なのだ。