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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

INDEX|50ページ/53ページ|

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そう言って、祖父は莉子の髪を優しく撫でた。屈みこんで視線を合わせて。

「これでもう怖いことは起きないからね」

祖父は懐から取り出したキャンディを数個、莉子に握らせて笑った。

「ありがとう、おじちゃん!」

莉子も笑った。それは心から満足したような笑みだった。

「莉子、ごめんな…ごめんな…」
「嫌だったよね、つらかったよね…ごめんね…」

両親が莉子を抱きしめるのを見て、二人は莉子の家から出る。

「じーちゃん、お見事でした!」

颯馬が拍手をすると、祖父は被っていた兜巾(ときん)を外し、息を吐いた。

「他者が両親を叱ったことで、あの子の溜飲も下がっただろう。両親が後悔する姿を見て、自分がきちんと愛されているということも理解できたはずだ。親が変われば、あの子の不安も消えて、やがて落ち着いていくだろう」

先に帰るぞ。そう言い残し、祖父は去っていく。が、途中で振り返るとニイと笑って見せた。

「こんな詐欺師の役は二度とごめんだが、おまえとおまえの友人は、一ついいことをしたな」

そう言って颯爽と歩いていく祖父の背に、颯馬はひとつ頭を下げた。





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