小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

こころのこえ 探偵奇談13

INDEX|52ページ/53ページ|

次のページ前のページ
 


「郁ちゃん、瑞にもお礼言いたい」
「え?」

莉子が満面の笑みでそう言った。聞けば、祈祷師のじいさんが来たときそばにいた青年が、瑞に頼まれて莉子を助けに来たと告げたらしい。きっと颯馬だ。

「莉子ちゃんが元気になったよって言ったら、きっとすぐ会いに来てくれるよ」
「本当に?やったあ!」

嬉しそうだ。

「けがはもう大丈夫かな」

莉子が少し声のトーンを落として言った。

「お医者さんに診てもらって、もう平気って言ってたよ」

弓を引くことにも支障はないようで、彼はいつも通りだ。その姿に、郁は心の底から安堵した。

「…瑞が怪我したとき、郁ちゃん泣いてた」

ぽつんと莉子が言い、郁はあのときのことを思い出す。

「郁ちゃんは、瑞のこと好きなんだね」

にっこり笑ってそう告げられ、郁は胸が詰まった。

「…うん、好きなの」

あのとき、言えなかった。

一之瀬の好きなやつって誰?

言ったら全部変わってしまうから。だけどもう、隠しきれないくらいに気持ちが育ってしまった。いつまでごまかせるだろう。いつまで秘めておけるだろう。