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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

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「きえええーい!」

大きな声で叫んだかと思うと、いつもは絶対にしないであろう声使いで、祝詞をあげ始めた。その迫力たるや、演技だとわかっている颯馬でも圧倒されるほどだった。

両親には、この演技は効果覿面だった。二人は半泣きで両手を合わせ、必死に祈ってる。莉子はそんな様子を呆気にとられながらながめていた。

物の5分ほどで祖父の祈祷(演技)は終わる。

「邪気は去ったようじゃ。もう何も心配はいらん」

祖父の言葉に、莉子の両親は心底ほっとしたように抱き合った。

「よかった、よかった!」
「これでもう怖くないぞ、大丈夫だぞ莉子!」

それを冷ややかに見つめていた祖父が、静かに両親の前に立つ。

「一言よいか」
「は、はい…」

祖父は日と息吸うと、大きな声で言った。

「子どもの前で、喧嘩をしてはならんッ!」

夫婦は、びくりと肩を震わせた。ものすごい迫力だった。鞭のような声は家中に反響した。

(こええ…我がジジイながら…まじでこええ)

泣く子も黙るスーパー祖父なのだ。境内で悪さをしたガキンチョも肝試しに来たヤンキーも、ちびってゴメンナサイするレベルなのだ。

「親の不安はそのまま子の不安となる。親の怒りや不満は、すべて子に筒抜ける。おぬしらちょっとはこの子の心に耳を傾ける努力をせんか。さもなくば再び悪しきものは巣食うぞ」