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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

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「…いいですけど」

拗ねている瑞の前に、立ち上がった伊吹がやってくる。そして。

「わあ、先輩なに?」

伊吹は瑞の髪を両手でかき混ぜる。わしわしと、小さな子どもにするように。

「もー!もじゃもじゃなったじゃん!」

ようやく手を離した伊吹を見上げると、彼は優しく笑っていた。伊吹がこんな表情を見せるのは、珍しい。なんだろう、慈しむような視線だった。

「おまえのことも一之瀬のことも、俺は大事に思ってるよ。あ、颯馬も」

突然そんなことを言う。

「おまえらみんな、かわいいかわいい。いい子だなあ」

そう言ってまた、もじゃもじゃと瑞の髪をかき混ぜる伊吹。

「…だから、なるべく、悲しんだり、傷ついたりしないでほしいと思ってるだけ」
「……」
「ほんとにそれは、思ってるんだ。いつも」

それだけ言うと、伊吹はもとの場所に座って、再びテレビをつけたのだった。瑞はもじゃもじゃの髪を撫でつけながら、釈然としない思いのまま先輩を見つめる。

(ナンナノ…)

意味は、よくわからにけれど、それでもすごく温かい気持ちになった。このひとは、いつでも自分たちの味方なのだ。そう感じられる。どんなときも。嬉しいような照れくさいような思いで、瑞は膝に顔を埋めた。





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