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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

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声をあげて泣く莉子を抱きしめて、郁がすがるように瑞を見た。がたがたと、リビングの棚に飾ってある写真立てが揺れている。一斉に、まるで目を覚ましたかのように家中に振動が走る。

「…一之瀬、立てるか。一度家を出たほうがいい」

家のそこらじゅうで音が鳴っている。家具が揺れる音。ガラスとガラスがぶつかるような音。扉が間断なく開閉される音。これは侵入してきた瑞らへの抵抗なのだろうか。

「須丸くん、音がどんどん大きくなってる!」

壁がダンダンと鳴り、リビングに掛けてある父親のものらしきコートが、ばさりと床に落ちた。

「とにかく外に出るぞ」
「う、うん…」

廊下を駆け、玄関へ向かおうとしたそのときだった。

ガタガタッ、と頭上から大きな音がして瑞は反射的に空を仰ぐ。

「…うそだろ!一之瀬!」
「え?」

階段の上。吹き抜けにある落下防止の木製の柵が、まるで揺さぶられているかのように激しく動いて、ものすごい力で外れた。莉子と彼女を抱っこした郁めがけて落ちてくる。咄嗟に伸ばしていた腕で郁を突き飛ばした。バランスを崩した二人が背中から廊下に倒れこむのを視界に入れたその刹那、目の前にそれが降ってくる。

「きゃああっ!」

落下してきた柵が砕けるすさまじい音と振動。それきり家じゅうの音が鳴りやみ、シンとした静寂が訪れた。

「…瑞、瑞、大丈夫!?」
「イテテ…」

莉子に身体を揺すられる。直撃は免れたものの、腕で身体を庇った際に落下してきた柵をぶつけてしまったらしい。右腕鈍く痛むが、特に折れているわけではないようだ。破片で切れたのか、頬に鋭い痛みが走った。ぬぐうと血が出ている。

「須丸くん…!」
「大丈夫だよ。二人とも怪我ないか」
「うそ、どうしよう、どうしよう…」