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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

INDEX|35ページ/53ページ|

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「…どう?」

郁が心配そうに尋ねてくる。

「変な気配とかは全くしないんだけど…」

そう言いかけたときだった。
勝手口のガラス戸が鳴った。ガタガタと誰かが揺らしているかのように。しかしガラスの向こうに人影などない。

「嫌だ…まただ!」

莉子が瑞の服の袖をぎゅうっと握る。

「大丈夫。風だよきっと」
「うん…」

やがてその音は収まり、家の中に静寂が戻ってくる。本当に風だったのだろうか。それとも…。

「ここで転んだ事あるの」

莉子は勝手口の床を指す。緊張気味の声は少し震えている。

「ママの料理を手伝ってたときに、突然どんってお腹をおされて」

恐怖を思い出しているのだろう。青ざめた表情。

「ほかにも…いっぱい…痛いことばっかり…怖いことばっかり…こんな家、もう嫌…帰りたい、おばあちゃんのいる家…」
「莉子ちゃん…」

かた、と小さな音。静かな部屋に、その音は大きく反響し、三人の視線が一斉に注がれる。
シンクの上に伏せてあったコップがひっくり返り、カラカラと音をたてて転がっている。誰も触っていないのに。振動もないのに。莉子の嗚咽が更に大きくなる。

「やだ、もうやだよ…!こんな家だいっきらい!」

バン!と大きな音がして、郁が悲鳴を上げる。食器棚の扉がものすごい勢いで開いたのだ。誰かが内側から力任せに開けたような、そんな勢いで。

「もうやめてよお!意地悪しないで!」