こころのこえ 探偵奇談13
呼応
普通の家だ。最近の、洒落た洋風の作り。こじんまりとした、郁が形容していたように絵本に出てくるようなかわいいおうち。
(別に嫌な感じもしないけどな…)
こじんまりした玄関ホール。クリーム色の落ち着いた壁紙はホッとする色合いだ。フローリングはぴかぴかで、棚の上にはかわいらしい雑貨が飾ってあった。お化け屋敷の要素など一つもない。
莉子の許しを得て、瑞は家の中をめぐる。一階は広いリビング。キッチンは対面式だ。トイレも浴室も異常はない。二階へ続く階段、吹き抜けのフロア。子ども部屋、夫婦の寝室。どこを見ても綺麗で手入れが届いている。家主のセンスを感じさせる家だった。
莉子は郁とともに、家の中を歩き回る瑞の背をについてくる。きょろきょろとあたりを見渡す視線は、不安げに揺れている。
「莉子ちゃんが一番怖いところってどこ?」
20分ほどかけて家を周り、玄関い戻ってきたところで瑞は少女に尋ねてみる。
「…ごはん食べるとこ」
リビングとキッチンを言うらしい。改めてそこへ向かい、瑞は様子を伺う。皿が飛び出してきたという食器棚。勝手に水が出てくるシンク。ひっくり返ったというダイニングテーブル。怪奇現象はここに集中しているらしいのだが…。ここも他の部屋同様に、ごくごく普通の部屋に過ぎない。
作品名:こころのこえ 探偵奇談13 作家名:ひなた眞白