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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

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もうすぐ四時になる。そろそろ帰ろうか。伊吹は誰もいない射場から、雪で白く染まる外を見る。部活中はどうしても指導に回ることが多くて、なかなか自分の練習時間がとれない。一人きりで、雪の降る中静かに弓を引くという時間は、想像以上に集中できた。土曜日の午後は、活動している運動部は少ない。雪で屋外の運動部は休んでいるし、伊吹の耳には時折枝から落ちる雪の音が届く程度だった。

片付けと着替えを済ませる。コートを着て外に出ると、想像以上に冷え込んでいた。雪を踏みしめながら校舎へ向かう。食堂の自販機で、何か温かいものを買おう。

「あー、先輩っ」

食堂で颯馬に会う。テキストを開いている者、談笑している者、まばらな人影の中に、派手な颯馬が混じっていた。

「何してるんだ?」
「寒くて外出られんくって、あったまってました」

友人らに手を振り、颯馬は伊吹の座るテーブルにやってくる。とりとめのない話をしながら、伊吹は瑞と郁のことを考える。颯馬の気持ちも郁の気持ちも知っているのは、伊吹だけ。だから、こうして話をしていると、颯馬の報われない思いを想像してなんだか苦しくなってくるのだ。
悟られないようにいつもと同じに会話を続けるが、話の切れ間に颯馬が噴き出した。

「先輩、なんかこないだから俺に気つかってる。すみません、なんか」

ばれている…。

「や、うん…でもなあ」
「わかりますよ。郁ちゃんのことも瑞くんのことも、先輩はすごく大事にしてるから。それに加えて俺のことまでいいやつだって、気にかけてくれてるんでしょ?」