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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

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目にみるみる涙がたまっていく。

「そう…嫌だったね。怖かったね」

俯いてしゃくりあげはじめる少女の髪を撫でてやる。

「俺、郁ちゃんに言われて、莉子ちゃんのおうちを見に来たんだ」
「う、うん…」
「おかしなことがなんで起きるのか調べて、助けたい」

莉子はすがるような表情で瑞を見た。

「助けてくれるの…?」
「うん」

どこまでできるかはわからないけれど。
瑞が頷くと、タックルするように莉子が腰に抱き付いてきた。その震える背中をさすり、かわいそうに、と思う。こんな小さな子が家族の崩壊の危機を恐れて震えている。

「できるだけ、頑張ってみるから」

自分にできることなんてたかが知れていると思う。しかし、郁の真摯な願いと、少女の震える背中に報いたいと瑞は思う。やはり、困っているのを放ってはおけない。頼られているからには、少しでも力になりたいと思う。

「…瑞は、パパやママのこと、好き?」

身体を離して、莉子が尋ねてくる。

「そりゃあ、まあ。家族だから」
「…あたしはね、このままだと嫌いになりそう。お引っ越ししてからケンカばっかり。あたしのことなんて、嫌いなのかもしれない」

環境の変化に怪現象がのしかかったことで、少女の心は大人が思う以上に傷ついているのだろう。家族を嫌いになるかもしれないという不安にも、莉子は脅かされている。

「…俺さ、今は父さんとも母さんとも離れて暮らしてるんだ。じいちゃんと二人で」

不思議そうに、莉子が瑞を見上げている。

「俺、ばあちゃんが死んだとき、本当にものすごく怖かったんだよ」

ひとの死なんて、心のどこかで自分とは無関係だと思っていた。大切な人がそばにいてくれるのは言葉にするまでもなく、意識することすらないほどに当然のことだった。