小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

こころのこえ 探偵奇談13

INDEX|25ページ/53ページ|

次のページ前のページ
 


帰宅すると、弟の響と莉子がテレビゲームの真っ最中だった。ケラケラと笑っている莉子を見て、郁は少しだけ安心した。年相応の無邪気さを見せる莉子は、昨夜に比べずいぶん顔色もよくなっている。

「母さん病院行ってるよ。シチューあっためて食べなさいだって」
「わかった。すぐ用意するね」
「郁ちゃん、あたしお手伝いする!」

ゲームを響に託し、手を洗った莉子が一緒に台所に立ってくれる。

「おっかしいんだよ、響くん。ゲームに夢中になりすぎてジュースこぼしちゃったんだよ!」

皿を並べながら、莉子が嬉しそうに言う。雑でずぼらな弟だが、莉子の心を癒せたのなら花丸である。

「響って、いっつもそうだよ。もう四年生なのにさ」
「さっきお外で友だちと雪合戦してて、びちゃびちゃになってた」
「うそでしょ響!あんた濡れた服洗濯機入れた?」

入れてねえー、着てたら乾いたー、とテレビから目を離さず答える弟。

「もー!長靴かわかしとかないと、明日学校いけないよ!」
「靴で行くからいいー」
「明日も大雪だっての!」

姉弟のやりとりをくすくすと笑いながら見ていた莉子が、やがてぽつんと呟いた。

「郁ちゃんち、いいね」
「え?」
「楽しいもん」

怖いことばかり起きる家。父親も入院し、母親は付き添いで帰れない。幼い莉子の心中を思うと、郁は気の毒になるのだった。せめてこの家にいる間は、心が休まればいいのだが。


三人でテレビを見ながら夕食を囲んだ。弟が学校であった他愛もないばかな話で莉子を笑わせる。和やかな時間が過ぎていった。