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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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こころのこえ 探偵奇談13

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ポルターガイスト



放課後。足早に帰る生徒たちの間をすり抜け、伊吹は食堂を目指していた。雪の為部活は休みになり、バスや電車待ちの時間をつぶす生徒たちが、食堂や図書室で時間を潰している。
何やら相談があると、瑞から呼び出されたのだ。急ぐ用事もないし、雪でバスは混んでいるようだし、断る理由もない。

「伊吹先輩、すみません。こんな日に」
「気にしなくていいよ」

食堂の入り口で郁が待っていた。座ろうと促すと、そこにはすでに瑞がいた。

「それで相談って?」
「はい。他言無用でお願いしたいんです」

勿論、と瑞と一緒に頷く。このメンツが集まっているということは、まず間違いなく,
科学では解明できない類の話だろう。

「近所のおうちの小学生の子が、いまわけあってわたしの家にいるんですけど…」

郁が言いづらそうに口を開いた。

ほぼ新築の家に越してきた一家が、そこで不可思議な現象に遭遇しているという。
昨晩父親が怪我をし救急車で搬送され、一人娘の莉子をしばらく預かることになったという一之瀬家。郁の言う不可解な現象というのは、莉子から聞いたところをまとめてみると次のようなことだった。

物が跳ぶ、動く、配置が変わる。足音がする。勝手にテレビがついたり消えたりする。家が揺れる。至る所で音が鳴る。電気が明滅する。無言電話がかかってくる。いろんなものが壊れる。誰かが覗いている気がする。床が濡れる。家具などの大きなものが動く。などなど。

「…幽霊屋敷?」

伊吹が尋ねると、郁は首を振った。

「それが…新しい家だし、土地にも何の因縁もないみたいなんです。以前住んでいた老夫婦からもそんな話聞いたことないって、母が」
「一家に何か憑いてるとか?この前の古多賀家の事件は、そうだったよな」

あの家は、一族の血というか、歴史そのものに憑く因縁が原因だった。

「それはわかりません…」