こころのこえ 探偵奇談13
そっとベッドを抜け出して階下に降りると、コートを羽織った両親が出掛ける支度をしていた。
「ありがとね郁。莉子ちゃんは?」
「大丈夫、寝たよ」
「そう。あんたももう休みなさい。母さん、父さんと病院に行ってくるから」
こんな夜中に、と郁は不安を口に出す。
「近くに親戚もいないし、菊川さんが頼れるのはうちのママくらいみたいなんだ」
「鍵かけていくから。響(ひびき)と莉子ちゃんのことお願いね。必要なものだけ届けて、すぐ帰ってくるから」
「わかった。雪降ってるし、気を付けてよ」
両親を送り出して、家の戸締りを確認する。それから再びベッドに戻ると、莉子は身体を丸めて眠っていた。
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作品名:こころのこえ 探偵奇談13 作家名:ひなた眞白