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月とコンビニ
月とコンビニ
novelistID. 53800
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1作品目 「もしも織姫と彦星がコンビニの店長だったら。」

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舟木  本部の目がある訳ですから、こっそりコツコツ織姫さんに会いに行きましょう。それこそ、堂々と「天の川」を渡るんじゃなくて、普通に端まで行って横断歩道渡って会いに行けば
店長  バカかね君は?
舟木  へ?
店長  それは絶対に言っちゃいけないだろ?それに、詩で出会った二人にはドラマチックな結末が待ってるもんだろ?
舟木  でも七夕祭り中止なんですよね?
店長  ひゅーーーーーん

●店長気絶

舟木  てんちょーーーーーう!!!


【シーン7】
●コンビニ二号店の店内。織姫がレジにいて、蛇の目はタブレットで商品のチェックをしている。

蛇の目  止まないですね、雨。
織姫   そうですね。
蛇の目  あぁ、笹の葉。流石に風で倒れたら危ないので片付けましょうか。
織姫   えぇ。
蛇の目  そんなに会いたかったんですか?彼に。
織姫   ……
蛇の目  仕方ないですよ。一号店のバイト君の話じゃ、今日の七夕祭りに乗じて何かするみたいでしたが、これじゃあね。あ、傘と合羽。それからハンドタオルも前に出しておきましょ。
織姫   蛇の目君。
蛇の目  はい?
織姫   1号店を本部に閉店させるよう掛け合ったのは蛇の目君でしょ?
蛇の目  あぁー流石に分かりました?
織姫   だって、蛇の目君。本部の人間じゃない。
蛇の目  えぇ。そうですよ。まだ話を進めてる段階ですけど。
織姫   どうして?
蛇の目  さぁ。
織姫   私のせい?
蛇の目  その言い方だと少し語弊があるので訂正しますね。正確には先の利益のためです。正直2号店は3号店を見越した土台作りの予定だったんですけど、あなたが店長になり予想よりも遥かに売り上げが伸びた。だからこのお店を軸に今後の展開を考えていたんです。

織姫   だからあなた達は父にあんな無茶苦茶な契約を

蛇の目  無茶苦茶なんてそんな。他のオーナーだって同じですよ。皆、身を粉にして働いているんです。僕にはよく分からないんですけど。でもここのオーナーはお店を潰して欲しくない。あなたはお父さんの為に働きたい。これで良かったんですけど、一号店の店長がね、なんかよく分からないノリであなたに告白するなんていうじゃないですか。それで、もしあなたの仕事に支障が出たらこの店はダメになる。そんな事は僕がさせないですよ。だから少し脅しをかけて彼におとなしくしてもらっている。ただそれだけのことです。

織姫  みなさん、私を買被り過ぎ。

●蛇の目、構わず商品のチェック。

織姫  私だけじゃ何もできないです。
蛇の目 どうしました急に。雨で気分が滅入ってきました?
織姫  ずっと考えていたんです。でも結局よく分からなくて。でも、このお店は私がいなくても全然大丈夫だとは思います。お客さんを捌くのは私以外の子たちの方が上手だし、経営はもちろんオーナーが。PRや集客、細かいアドバイスは蛇の目くん。
蛇の目 いや、だから、店長が居て初めて成り立つのであって
織姫  このお店は、ダメにならないですよ。


【シーン8】
●コンビニ1号店の店内

舟木  ありがとうございました。ってちょっと店長いつまで落ち込んでるんですか!
店長  からあげ食べていい?
舟木  ダメに決まってるでしょ!ちょっと忙しいんですから…

●携帯電話が鳴る。笠鳥から店長宛にTEL。

舟木  ちょっと電源切っておいてくださいよ!
店長  もしもし…
舟木  あぁ。もしもし。残念だったなぁー七夕!中止になっちまってよぉ!
店長  そんな事の為に電話したんですか?
舟木  お前まさか、七夕祭が中止だからって女との約束を破り捨てるんじゃねぇだろうな?
店長  え…でも
笠鳥  バカか!あんな悲しい歌を詠ませた相手を、そのまま放っておくのか?
店長  悲しい…歌…そう言えば、ちゃんと意味を調べてなかった。舟木、携帯貸して!
舟木  え、えぇ!?

●店長、舟木の携帯で“歌”の意味を調べる。

●店長、何か覚悟を決めた表情。

店長  会いにいかないと。この天の川を渡って。
舟木  はぁ?でもどうやって…


●店長の耳に電話越しでたくさんのバイクの音が聞こえる。そして笠鳥のセリフを思い出す。

笠鳥『そう!7月7日に甲雷烏のOB会だからよ!ごっついバイクの男達が走り廻るから見といてくれよ!雨天決行!』

店長  笠鳥さん
笠鳥  おん?
店長  今どこですか?
笠鳥  今か?丁度仲間と高速降りたところだぞ?俺が店長に一喝しにお店の前通ってやろうと思てよ!仲間たちも店長に会いたがってんぞぉい!!
店長  お仲間もご一緒なんですね!?
笠鳥  そうだよ!
店長  ねぇ、笠鳥さん。
笠鳥  お、いい声になったな、あんちゃん!
店長  えぇ。ありがとうございます。笠鳥さん…お店には来なくても大丈夫です。だけどその代わり、お願いがあるんだ。


●場面は変わりに2号店のコンビニ店内。お客さんで賑わう店内。レジには織姫、叶絵、蛇の目。

叶絵  私が休憩してる間に一気に増えましたね。
織姫  ラストまで休憩はできなそうね。
蛇の目 そうみたいですね。
織姫  蛇の目くんは別にレジやらなくていいのよ?
蛇の目 監視役。
織姫  なるほど。
叶絵  行っちゃえばいいのに。
織姫  え?
叶絵  約束したんでしょ?だったら会いに行って来れば?
織姫  いや、私は別に。
蛇の目 ……
織姫  それに七夕祭も中止で、「天の川」だって…



店長  おりひめぇぇぇええええええええ!!!!!!!


織姫  え?なになに!?

●声のした方を織姫が見ると、その光景に織姫は驚愕する。

織姫  うそ…
蛇の目 「天の川」が…
叶絵  止まってる…

●決して止まることの無い道路、環状7.7号線「天の川」がピタリと一台の車も通らずに止まってる。

笠鳥  堰き止め完了!俺のバイク仲間に、甲雷烏の現役、OB、フル動員!時間は1分ももたねぇから、さっさとブチかましてこい!

舟木  笠鳥さんへのお願いってこれだったのか!!「天の川」へ向かう車の流れを集団的にバイクで一斉遮断。そこへ通ずる僅かな抜け道も全て!一切の漏れなく「天の川」を完全封殺!これはヤバすぎるよ、ヤバすぎですよ店長ぉぉおお!!!

●店長、一号店のお店から出て、「天の川」を挟み2号店の正面に立つ。

店長  どうせアクションを起こせばこの店は閉店なんだ。好きにやらせてもらうぜ!

●コンビニ2号店の店内。今の状況に唖然とする織姫、叶絵、蛇の目。そして次々と来店するお客さん。

お客  一体何なんだこれ?道が急に塞がったぞ?
お客② 七夕祭は中止だろ?
織姫  な、なにこれ、どうなってるの?
叶絵  行ってきちゃえば?
織姫  え?
蛇の目 お客さん優先ですよ。今出て行かれたら誰が店を回すんですか?
織姫  そうですよね。

●さらに賑わいを見せるお店。ガヤガヤ

叶絵  ちっ!いいところなのに!
織姫  叶絵ちゃんも、時間でしょ?大丈夫なの?
叶絵  今は自分の心配してください!
織姫  自分の……でも、今ここを離れるわけには

オーナー  代わります。店長。

●オーナー入り