小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
月とコンビニ
月とコンビニ
novelistID. 53800
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

1作品目 「もしも織姫と彦星がコンビニの店長だったら。」

INDEX|3ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

笠鳥  そう!7月7日に甲雷烏のOB会だからよ!ごっついバイクの男達が走り廻るから見といてくれよ!雨天決行!
店長  あまり迷惑かけちゃダメですよ!
笠鳥  うぃーー。当日は駅前で七夕祭もやるし、盛り上がるねぇ~
店長  分かりましたから!
笠鳥  おう。なにか困ったことあったら言ってくれや!じゃあな。

●笠鳥、バイクで走り去っていく。

舟木  なんか変わった人ですね。
笠鳥  いいお得意さんって感じだね
オーナー サボりはダメだよ
店・舟 ぎゃぁあああああ

●オーナー気づいたら後ろにいる。

オーナー はい、お疲れ様。今日は店長に重大発表だぞーん
店長   なんですか?
オーナー この店、閉店します。

【シーン4】
●コンビニ1号店の休憩室

店長   なんでいきなり閉店になるんですか?
オーナー しょうがないじゃーん。そう通達が来ちゃったんだからー
店長   そんな急に!!……いつまでにですか?
オーナー 7月末で閉店。
店長   はい!?え?一か月後!?
オーナー まぁまぁ!落ち着いてよ!もう!閉店と言ってもあくまで「予定」。条件を満たせば経営続行できるってさ
店長   なんですか?条件って?
オーナー 店長。二号店へは行くな。それが条件だ。
店長   はい…それが条件って?ちょっと分からないんですけど?
オーナー だから、君がね、二号店の人間と関係を持つことを禁止すると言っているんだ。
店長   意味が分からないですよ!
オーナー  しょうがないじゃーん。そういうことなんだからさー!あ、あと私もこの店が潰れると経営が非常にマズイことになるから、条件はのんでもらう。いいよね?
店長    は?何を勝手に!
オーナー  全力で君の告白を邪魔します!
店長    ちょっといい加減にしてください!この前のシフト変更とは訳が違うんですよ!そんなに僕が織姫ちゃんに告白することが許せないんですか!お父さん!
オーナー  君にお父さんと言われる筋合いはない!これ言ってみたかった!
店長    ちょっとふざけないでちゃんと話をしてください!そんなに娘さん僕に合わせたくないですか!
オーナー  仮にそうだとしたら君はどうするんだ?
店長    ……
オーナー  今の君は、正直私から見ても薄い。なぜうちの娘に告白するんだ?顔か?顔が好みだったのか?君の人生に厚さを出すためだけに娘はやらんよ。少なくとも今の君にはね。
店長    ……
オーナー  そういうことだから。しばらく、おとなしくしてくれ。本部の目に知れたらこの店は終わりなので!それじゃあ!バイトの子たちには伝えといてね!よろしくさーん

●オーナー、颯爽とハケて行く。

店長  ……わけわかんねぇよ、くそ……でも……約束したんだ……織姫と……そうだ……そうだよ!7月7日!この日があったじゃんか!おい、舟木ぃぃいいい!
舟木  はい!はい!なんですか店長!今忙しいんですけど。 
店長  7月7日。七夕祭りの日。10分間だけ、時間もらえるか?

【シーン5】
●コンビニ2号店の休憩室、そこで腰掛ける織姫。しばらくしてオーナー入り。手にはたくさんの廃棄弁当が。織姫の近くに座りお昼を食べ始める。

オーナー お疲れ。
織姫   お疲れ様。
オーナー ちょうど休憩か。
織姫   うん。お客さん途切れたから。
オーナー 俺も今からお昼だ。この新商品、美味しいな! 食べたか?
織姫   ううん。
オーナー これは夕飯にとっておくかな!新商品が出ると助かるよホント!
織姫   ……
オーナー 大変だろ?お前も。滅多にお客途切れないから。
織姫   まぁね。でも大丈夫よ。
オーナー そうか。
織姫   1号店、閉店するの?
オーナー あらら。情報が早いな。
織姫   まぁね
オーナー まだ確定じゃないよ。
織姫   そうなんだ。
オーナー どうしてなんだろうなー
織姫   うん。
オーナー この店はお前のおかげでこの地区でも売り上げは常に首位。でも一号店も負けず劣らず売り上げもいい。それをこんなあっさり切り捨てられるなんて。
織姫   私のせい?
オーナー お前のせいじゃない。本部の決定だ。逆らえん。
織姫   パパ…

●オーナー、残りのご飯をかきこむ。

オーナー  あぁ。ごちそうさま。すまんな、せっかくの休憩を。
織姫   ううん。

●オーナー廃棄弁当を持ってハケ。それと入れ違いをする形で叶絵入り。

叶絵  お疲れ様です。
織姫  うん、お疲れ様。

叶絵  オーナー、大変そうですね。
織姫  あ、聞いてた?ごめんね。気を使わせちゃって。
叶絵  いえ。
織姫  ……
叶絵  ……
織姫  あのコンビニ弁当ね
叶絵  廃棄弁当ですか?
織姫  うん。あれを食べて食費を浮かしてるのよ。
叶絵  節約ですか?
織姫  まぁそうなんだけど。余ったお弁当も結局は自分で安く買い取らなきゃいけなくて。だから食事にお金かけてられないの。
叶絵  はぁ。
織姫  お金も毎日売り上げを全額本部に送金しなきゃいけない。自分の手元に戻ってくるお金なんてほとんどないの。オーナー―って言われてる割に地味―な生活してるのね。だから人件費削減するために自分とかその身内がこうして働いているわけ。
叶絵  それはなんとなく聞いたことありますけど……
織姫  叶絵ちゃんって、私の事嫌いでしょ?
叶絵  え、なんですか急に。
織姫  正直どう思ってる?
叶絵  ……
織姫  店長だからとか気にしないで。
叶絵  正直……好きには……なれないかな。オーナーからもお客さんからも、それに、本部の人からもチヤホヤされて……その、バリバリやってる…わけでもないのに。
織姫  ふふ…そうね。私なんて店長としての能力、すごく低いもん。結局みんなに支えられてる。お父さん、お客さん、本部の人。あと…叶絵ちゃんとか。
叶絵  なんですか…急に。
織姫  いや、なんでもない。そういう気分なだけかも。
叶絵  そういうところが好きになれないんですよ!全く!
織姫  え?そうだったの!?
叶絵  訳分からないんです!ほら、休憩時間終わってますよ。さっさと行ってください!
織姫  え、ちょ!わ、わかったから!

【シーン6】
●7月7日、七夕祭り当日。コンビニ1号店店内。大雨。もう一度言います。大雨です。

舟木  元気出してくださいよ!店長!
店長  もうダメだ。
舟木  分からないじゃないですか!雨止むかもしれないし!
客   今日一日中雨だってよ!
客②  七夕祭りも中止が決定だって!
店長  ズーーーーーーーン
舟木  気を取り直しましょう!
店長  あー天の川の水が止まればなー
舟木  無理ですよ流石に。確かに七夕祭りの交通規制で一時的に通行は無くなって、「天の川」を渡ることが出来ますけど、その七夕祭りが中止なんじゃ、「天の川」の流れも止まらないですって。
店長  そうだよな…
舟木  こら店長!ボードでレジを封鎖しないでください!
店長  「天の川」封鎖できませーん