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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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孤独たちの水底 探偵奇談12

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目が覚めたとき、時刻はすでに深夜だった。社務所の灯りと火は落ち、隣で瑞が眠っている。畳の上に倒れこんでから、ずいぶん熟睡していたらしい。毛布から這い出ると寒さを感じた。

「おうちにはうちのじいちゃんから連絡しときました」

がらがらと扉を開いて、颯馬が入ってきた。部屋着姿だ。

「颯馬。おまえ帰ってなかったのか」
「一回家帰ったけど、先輩たち置いてけないから。いまもう一時になるとこです」

それより、と懐中電灯を片手に颯馬が手招きをする。

「先輩、外すごいよ、来て」
「え?」

ぴりっと肌を刺すような静謐な空気。11月の冷たい夜が身体を包む。毛布をひっかけて颯馬に続いて外に出た伊吹は、そこに不思議なものを見た。

「…すごい」

境内の辺りを包むすっかり暗い木々の隙間に、星が降ったかのような灯りが見える。蛍のように、ついたり消えたりしている淡い、ぼんやりとした光たち。淡いオレンジ、桃色が、ふわふわと生き物のように漂っている。山全体が、柔らかな光に包まれているのだ。

「綺麗だな」
「今夜しか見られないと思います。特別な夜だからね」

人気のない静かな境内を二人で歩く。見上げれば夜空の星と不可思議な光。幻想的な光景だった。

「決着つきました?」
「…どうしてそう思う?」
「雨降らないから、瑞くんがいるのに」