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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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孤独たちの水底 探偵奇談12

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「…まっずいなあ」

颯馬は、瑞の教室の前に落ちていた瑞の鞄を見つけくちびるを噛んだ。こんなところに鞄を放り出して姿を消すなんて、もうただごとではない。伊吹の靴も下駄箱にあった。ということは、伊吹もまた瑞とともに校内で消えてしまったということである。

「け、警察に…」
「郁ちゃん落ち着いて」
「消えたって、もう探しようがないじゃん、どうしたらいいの?」

青ざめる郁の言葉を反芻し、颯馬は腕を組む。

「…まあ、一応瑞くんにもそこそこの力があるから、帰ってこようと行動はしていると思う」

郁は瑞の鞄を拾い上げる。どこに消えてしまったのだろう。すべては沓薙四柱の手のひらの上か…。

「あたしたちに何かできることないの…」
「ないよ。もう俺達には立ち入ることのできない領域だ。いま言ったみたいに、瑞くんたちが自分でなんとかしようと奮闘しているのであれば、光明はある」
「…帰って、くるよね?」
「……」

安易に答えることができない。颯馬にだってわからないのだ。神様達が一体どんな裁断を下すかなど想像すらできない。生きて帰ってくるのか、それとも永遠に戻らないのか。

「…はっきり言って、俺らがここにいても役立たずだ。二人を信じるしかない」

颯馬はそう言って、教室の手前の席に腰を下ろす。郁も続いてやってきて、少し落ち着いたのか静かに座った。もう祈って待つことしかできない。