小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

いい湯だね

INDEX|5ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

女の子は、そそくさと父親の横に行くと、肩まで浸かった。中腰の格好だ。
父親は、娘を自分の膝の上に乗せるようにして、座らせた。
「あのね。おかあさんが帰ってきたら、ひとりでお風呂入れるよって言う」
「そっか?」
「おとうさんとは もう入らない」
「えぇ、どうして?」
「だって、ここおじさんばっかりだもん」
隣で男性が苦笑い。少し離れたところでも笑ったような声がした。
「そりゃまあ、男湯だからな」
「わたし、女の子だもん」
「こりゃまいったね、お父さん。もう意識しちゃっているのかねぇ」
「いや、どうなんでしょう」
「父ちゃんの前ではなんだが 大きくなってべっぴんさんになって一緒に入れたら おっちゃんは幸せだよぉ。ははは」
「おじちゃんは、男の人だから 女のお風呂には入っちゃだめなんだよ」
「おや、こりゃまいったな。ははは」
父親も娘の言葉に おねえさんになる気持ちが娘を成長させているように感じて嬉しくなった。

「じゃあ あと二〇数えたら上がろうか?」
「いぃち。にぃ。さん。よん。ごぉ。ろく・・・・・」
女の子の頬が、湯にほかほかとあたためられて赤く火照ってきた。
「・・・・・じゅうろく。じゅうしち。じゅうはぁち。じゅうく。にいじゅう。数えたぁ」
「じゃあ 出ようか。じゃあお先に」
父親は、隣の人たちに軽く挨拶をすると 娘を抱き上げ浴槽を出た。
「また おいでね」
「ばいばぁい」
「いやあ 若いおんなに『ばいばい』って言われると淋しいなぁ」
その隣の客が「そりゃ若すぎますよ。あとどれだけ待てばいいやらねぇ。じゃ私もお先に」と出て行った。
「け!男のケツ見てもしゃあないわ。はよ出てけ。ははは」

作品名:いい湯だね 作家名:甜茶