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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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「どうした一之瀬!」

悲鳴とばたばたという足音を聞いてか、客間から瑞らが飛び出してくる。

「血っ…!」

恐怖でそれしか言えない郁を、どうにか落ち着けようとする瑞に肩を叩かれる。

「息吸って。何があったんだ」
「はあ、はあ…っ、天井から、血が…おちてきて…床に、血が…」

薄闇の中、瑞らが息を呑む気配が伝わった。颯馬がゆっくり近づいてきて、郁の頬に手をやる。ぬるりとした感触に、郁は全身が粟立つのを感じた。

「…ほんとに血だ」
「いやっ!」
「郁ちゃん大丈夫だから。どこも怪我してないよね」

颯馬がいつものように優しい口調で尋ねてくる。

「うん…あたしの血じゃない…」
「よかった」
「誰かいたの…あの部屋に…それで声をかけたら…血が…天井から…」

見てくるよ、と伊吹と瑞が走っていく。郁はへなへなとその場に座り込み、大きく息を吐いた。

「郁ちゃん」

温かなおしぼりを持って、再び志帆がやってくる。優しく頬をぬぐってくれ、郁はようやくホッとした。

「ありがとう…」
「ねー志帆ちゃん、いままでこういう不可思議なことってあった?」

颯馬の問いかけに、志帆は首を振る。

「血だなんて、そんなの初めてです」

活性化している。颯馬がそう呟くのが聞こえた。
やがて戻ってきた瑞と伊吹は、血の跡などなかったとそう報告したのだった。部屋の中が無人であったことも。しかし郁の頬に血がついていたことは事実だ。一体あれは何だったのだろう。震える郁に、颯馬が優しく笑う。

「風呂わかしてくるね。不浄を全部流してくるといいよ」


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