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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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「だからって!!先輩を殺したところであの女が満足できるわけない!!あんたはあの女と子どもの仇じゃないだろ!!」

ここまで激昂している瑞を見るのは初めてだった。あまりの迫力に、郁は凍り付いて動けない。隣の颯馬は、腕を組んで冷静に成り行きを見守っている。いつもは見せない、感情のない静かな瞳で。

「…それは、そうだけど」

瑞の迫力に押され、伊吹が押し黙る。瑞は、大きく顔を歪ませると、伊吹の肩を拳でどんと突いた。穏やかな彼らしくない、それは乱暴で衝動的な態度であった。それほどまでに、彼は怒っているのだ。命を粗末に扱うような真似をした伊吹に対して。

「もう二度とやりなおせないって言ってるじゃないかッ!!」

感情が爆発したように怒鳴ると、瑞は苛立ちを隠そうともしない足音をたてて去った。伊吹は瞑目し、長く息を吐く。

「…また怒らせた」

伊吹が呟くと、颯馬が労うようにお疲れ様ですと笑う。

「大丈夫ですよ。きっと、心底怖かったんでしょうね」
「……」
「瑞くんってああ見えて結構単純だから、好物でも作って機嫌なおしてもらいましょ」
「あ、カレーだね!」
「それそれ」

お昼はカレーにしよう。郁と颯馬が提案して盛り上がるのを見て、伊吹は賛成、と穏やかに笑って見せる。しかしその笑顔には消せない後悔が浮かんでいるのだった。




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