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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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「それでも。どうしても、許せないのなら」

伊吹は、両手のひらを上に向け、静かに女に向かって差し出した。

「俺を」

だめだ、と瑞は吼えた。

「先輩!!」

鬼の腕が揺らめき、鉈を振り上げる。伊吹の頭上に、血に濡れたそれが掲げられる。

「だめだ!なにしてるんだ!」

殺される!!

しかし鉈を振り上げた姿勢のまま、鬼は静止した。伊吹の中に何かを感じたかのように、その腕が硬直する。そして。

禍々しい気配とともに、その姿は静かに冷気の中に消えていった。鐘の音がやみ、光が戻る。血の匂いは失せ、そこにはもはや、ただの秋の夜だけが音もなく横たわっていたのだった。

伊吹がゆっくりと倒れる。それは、惨劇の終わりの合図だった。




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