小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

INDEX|44ページ/51ページ|

次のページ前のページ
 


瑞の呟きに目をすがめると、うすぼんやりと立つ血まみれの女の姿が見えた。伊吹が夢で見たあの女に間違いない。振り乱れた髪、すすけ、血にまみれた着物。おおぶりの鉈を持ち、生き物のようにとどろく髪の隙間から見える、目。

それはもう人間の目ではない。
世を憎み憎み憎しみ尽くし、光をうつさなくなった鬼の目である。


ユルサナイ…


地獄の底から響くような、低くおぞましき声。


ミナゴロシニスル…


「…ひどい姿だ」

伊吹は呟いていた。

「先輩、視えるの?」
「夢でつながりが生まれ、霊感なんてない俺にも視えるんだと思う」

流れ込んでくる感情。このひとの苦しみが、伊吹には自身で体験したことのようにわかるのだ。あの夢の中で、目の前でこときれた女。無念だったろう。つらかったろう。孤独に死に絶えた女。

「もう終わらせる」

伊吹は覚悟を持って、その一歩を踏み出した。




.