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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

INDEX|40ページ/51ページ|

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バン!大きな音とともに、辺りが漆黒に包まれた。停電だ。

「なに!?どうしたの!?」
「みんな動くな。落ち着け」

しん、と静まり返った一同の周りを、冷たい風が吹き抜けていく。気温が、感じ取れるくらい急速に下がっていく。そしてそのときはきた。狂ったように、時計が鳴りだしたのだ。

「なんで!時計は止まってたはず!」

ボーンボーンボーンボーン

時計が鳴り続ける。不吉な音と一緒に、異様な気配が忍び寄ってくる。瑞は周囲に視線をめぐらせる。なにかくる!そして、鐘の音がやんだ…。


「須丸!!潤子さんだ!!」


闇を裂いて伊吹の声がとどろく。同時に須美子の悲鳴。

「ひいいいいー!!」
「潤子さん!なにしてるの!?」

潤子が、須美子に掴みかかっている。獣のような唸り声をあげて。颯馬と伊吹が、渾身の力で引きはがす。畳に転がった潤子は、ぜえぜえと荒い息を繰り返して起き上がる。月明かりに浮かぶ潤子の獣じみた目。そしてその手には、大振りの出刃包丁が握られていた。

「憑依されてる、逃げるぞ!」

腰が抜けている郁の手を引く。

「縁側から外へ!」

一同は縁側から外を目指す。しかしガラス戸に手をかけた志帆が、悲鳴をあげて飛びのいた。

「開きません!」

扉がびくともしないという。体当たりしても、ものをぶつけても無駄だった。

「…逃げられない!」


青白い光の中で、包丁を携えた潤子がニタリと笑った。




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