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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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「隠していることを話して!今すぐによ!」
「な、なにを言うのこの子は…。潤子さんどういうこと!?あなたがついていながら…!」
「話して!古多賀の長男の子を宿したまま殺された女性がいるんでしょう!?」

その言葉に、須美子は音をたてて息をのんだ。なぜ知っているのだと、そういう意味合いのリアクションにしか見えない。

「そのひとが、ずっと悲しんで苦しんでる!同じ目に合わせてやると言って長男を殺すのよ!きちんと償って弔って!なぜそんな非道な振る舞いをしたの!?一体なぜ!?誰が!?」

須美子は、汚らわしいものでも見るように志帆を見下ろし、はき捨てるように言った。

「何を世迷いごとを…!志帆、いますぐ帰りますよ!」
「いやよ!真実を知るまで、わたしは諦めない!」
「おまえという子は…!どこまで恥さらしなの!」

須美子の手が持ち上がり、振り上げられた。その手が志帆の頬を打とうとしたそのとき。

「ちょっとやめてくれない、おばさん」

颯馬がその手を払いのけた、まるでハエでも追い払うかのように。須美子は体制を崩して床に尻をついた。

「な、なにをするの!」
「もういいから。あんたらが何を暴露しても、もうこれだけ大きくなった事業も偉業も、今更崩れないでしょ。所詮は先祖のやったことだ、罪になんて問われはしないよ。そんなことより志帆ちゃんを見なよ。大好きなお兄さんを失いたくない一心なんだよ。これが普通の人間なんだ」

くちびるを噛みしめる志帆を見やってから、颯馬は須美子を睨みつけた。颯馬が怒っている…。瑞は雰囲気にのまれ、ただ見ていることしかできない。

「この子を見て少しも心が痛まないなら、あんたらのほうがもう、人の形をした鬼だ」
「…颯馬くん」
「大丈夫。志帆ちゃんは間違ってない。負けるな」

志帆は励まされ、再び須美子と向かい合った。

「…お願い、話して。あのひとを清めるなり鎮めるなりして、せめて生きている者でだけでも罪を償わなくちゃだめ。それがわたしたち古多賀の家のものの義務よ」

須美子がぐっとくちびるを噛みしめたそのとき。