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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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「経営については当主が、婚姻や跡継ぎ問題に関しては先代当主の御母上と伯母上がしきっているのだと、聞いたことがございます」

絶対の権力を持つのは、その女たちということか。

(血まみれの女…)

伊吹が見たという女は、なぜこの家に祟りをなそうとしているのだろう。婚姻関係をつかさどる女たちは、昔気質な一族の中では、強い権力を持っていると思う。あの女は、古多賀の女なのか…。それとも…。

「すみません、お仕事中に」

ありがとうございました、と頭を下げると、潤子もまた丁寧に頭を下げるのだった。

(やっぱ一族の人間をあたったほうが早いか。志帆さんの方に収穫があったらいいんだけど)

一族の因縁や事業が絡んでいるとなると、これはただの高校生である自分たちにはとてもじゃないが介入などできない。

「今日は鳥団子鍋ですよ。もう少し待っていてくださいね」
「ありがとうござ…」

優しい声に呼び止められ、振り返った瑞だったが。

「…どうかしましたか?」

凍り付く瑞の顔を見つめ、キョトンとする潤子。瑞は見た。ほんの一瞬だが、こちらを向いた潤子の顔が、鬼のように歪み、にらみつけている女の顔に見えたのだ。

「なんでもないです。失礼します」

気のせいか?心臓が忙しく鳴っている。瑞はまたしても不気味な思いを抱え、台所をあとにした。