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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 後編

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(どうしたもんかなあ)

日が落ちて、結界の力が弱まっていると伊吹はいう。護符や御神水などには強力な力があるものの、呪われたこの屋敷では効力を最大限に発揮できないのかもしれない。伊吹に迫る危機に対応しなければ。今夜、相手はどうでるだろう。伊吹を見つけて、どうするつもりなのだろう。

「あれ、颯馬くん?」

風呂上がりの女子らが向こうからやってきた。

「お風呂お先にいただきました。須丸くんたちは?」
「なんかケンカしてる」

え、大変!と郁が青ざめる。

「大丈夫なケンカだよ、子どものケンカ。ほっとこ。俺も風呂行ってくるね」

鼻歌を歌いながら郁らに手を振った。

(先輩があの女に見つかって危機が迫ったとしても)

颯馬は思う。

(あのひとを守るのは瑞くんの役目だ。ずっとずっと、そうだったはずだ。前世も、その前も、そのずっと前も)

そうやっていつの時代も、瑞は伊吹を守っていた。そんな気が、颯馬はするのだ。親子であっても、兄弟であっても。絆が失われ互いに顔を合わせることのなかった時代の他人同士であっても。

それは。
失うことが怖くて怖くて仕方がないから。
なのだと思う。




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