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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 前編

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あなたは諦めてないよね。瑞が言った。

「だから颯馬に相談したんでしょ?」

瑞の言葉に反応するかのように、志帆が顔をあげた。瑞を見る瞳に、みるみる涙がたまっていく。ようやく、人間らしい感情を見せたように。

「…わたし、お兄ちゃんには死んでほしくないんです。優しい兄です。ぎすぎすとした家の中で、大切な存在なんです。だけど三年前にお嫁さんをもらって、もうすぐ二人目の子どもが生まれる…跡継ぎができたんです。長男と次男、跡継ぎを作ると、兄は死ぬ…もう先は長くない。でも絶対に、死んでほしくないの」

両手で顔を覆って、彼女はしくしくと泣き出してしまった。

「ああ、泣かないで、大丈夫?」

颯馬が慌てて背中をさすっている。

「ごめんなさい…」
「あの、志帆さん、幽霊っていうのは?」

伊吹は尋ねた。長男が死ぬというのはわかったが、最初に彼女が言った、幽霊が出るとはどういうことなのだろう。

「はい…お嫁さんの二人目の妊娠がわかってすぐ…夜中に家の中で誰かが歩く回るようになりました。廊下をぐるぐる回っているの。まるで、兄を探しているみたいで」

兄を探して彷徨う者…。

「お嫁さんはすっかりまいっちゃって、子どもを連れて実家に戻っているんです。兄は海外出張中で。母も祖父母も親戚の家に身を寄せていて、いま本家にはわたしだけです。原因を解明するなら、いまがチャンスなの」

お願いします、と彼女は頭を下げた。