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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 前編

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「志帆さんのお話を受けていただいたとか…ありがとうございます」

郁らもそろって頭を下げる。よろしくお願いします、と声をそろえて。なんだか期待されていることを改めて感じ、郁は緊張してきた。遊びにきたのではない。少しでも助けになれるように努めなければ。

「あなたからも、お話を聴かせていただくことがあると思いますが…」

颯馬が言うと、彼女は心得ているというように頷いた。

「ええ、構いません。わたしの家は、代々古多賀の御本家にお仕えしているんです。わかることは、なんでもお話し致します。どうか真司郎(しんじろう)さんをお救い下さいまし。もうすぐ二人目のお子さんが生まれます。奥様も気を病んでおられて…」

しばし、声を震わせていた潤子だったが、すぐに顔をあげると笑顔を浮かべた。

「失礼をいたしました。お部屋にご案内しますね」

綺麗に磨き上げられた縁側沿いの廊下を進む。傍らに見える立派な庭園、日の光の入る明るい作り。この家が呪われ、幽霊が出るなどと、郁にはにわかに信じられなかった。

郁らには十二畳もの広い座敷が二部屋与えられた。客間として使っているということで、床の間も飾られた花も掛け軸も、どれも美しく立派だった。そのぶん、利用する家族がいないという寂しさのようなものが強くなる。こんなに大きな家なのに、家族みんなで過ごせないというのは…。

「じゃあ郁ちゃんは、わたしとこっちで。颯馬くんたちは隣を使って下さい」

とりあえず荷物を置いて来ようということになり、郁は志帆と一緒に一間に腰を下ろした。開け放たれた障子の向こうに、美しい庭と鮮やかな椿が見えた。空が広く見渡せ、心地がいい。荷物を置いて、うーんと伸びをする

「…どう、郁ちゃんは何か感じる?この家に入ってみて」

不安そうな顔で、志帆が尋ねてくる。