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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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そぞろゆく夜叉 探偵奇談11 前編

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調査開始



金曜日。嬉しい三連休で賑わう街のショッピングモールで、瑞らは二泊分の荷物を持って古多賀志帆が来るのを待っていた。三連休の部活は、一日は完全休養日で、残りは自主練習だ。泊まりがけで調査が可能である。大企業の本家、古多賀志帆の生家で。

「郁ちゃ~ん、お泊り嬉しいね!」
「ヤダ!嬉しくない!おばけ出るんだよ!?怖いよ!」
「大丈夫だって。なんかあったら瑞くんがいるじゃん」

颯馬はいつも通りだ。郁は怖がっているらしい。いつも通りの二人に呆れるような、頼もしいような、そんな感情を瑞は抱く。やかましい二人の隣で、じっと黙り込んでいた伊吹が、静かに言葉をもらすのが聞こえた。

「…なんか前にも、お化け屋敷の調査をしたような気がするんだ」
「え?」
「怖い目にあって…おまえが、助けに、来てくれたような…他にも、誰かいて…」

瑞の脳裏に、夢が蘇る。自分自身に警告された夢を。伊吹を守れ。それがおまえのお役目だったろう…。

「お化け屋敷の調査…?したことがあるの?」
「や、そんな気がしただけ」

少し青ざめている横顔が気になる。

「大丈夫ですか」
「うん…なんでもない」

ほどなくして、駐車場にタクシーが停まり、助手席から志帆が降りてきた。

「お待たせしました」

三人は導かれるままタクシーに乗車する。休日の騒がしい街を抜け、タクシーは、郊外の山を目指している。沓薙山とは逆方向。工業地帯を抜け、住宅街をさらに進む。紅葉の美しい山を登り、広大な敷地に立つ屋敷の前に降り立ったとき、なんとなく背中を寒気の様なものが走るのを感じ、瑞は、ますます警戒した。

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