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天井裏戦記

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「終わった――」

 亮太郎はプロポを床に落とし天井裏に手を伸ばした。伸ばした先はもちろんカゴである。
「やったな――」
「ああ……」
「取り敢えず、回収しようか」 
 二人はボスネズミの牢獄を手に、そろそろと自分の部屋に下りて、天井にふたをした。
 カゴの中では光に当てられたボスが小刻みに悪あがきのような動作を繰り返していた――。

   * * *

「どうするさ、このボス」
 慎平はカゴの中で小刻みに動くボスネズミを指差す。
「無理に殺生してもそれ以上に増える訳やし、意味なくね?」
「確かに」
 二人の視線が集中すると、ボスネズミは腹を括ったのかふてぶてしい態度で動きを止めた。その姿に二人は
「もうよい。堪念した、斬るなら斬れ」
と言うサムライのようにも見える。

「ま、こいつだけはちょっと遠くに行って捨てちまおうか」
「そやな。なんか潔さそうやし」
 亮太郎たちはカゴを持ち上げて外に出ることにした。

作品名:天井裏戦記 作家名:八馬八朔