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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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あの日、雨に消えた背 探偵奇談10

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(そういう、別れだったのか?)

何らかの縁があり育んだものを、全部、なかったことに、した?
自分たちは、それを悔いているのか…?

(なんでそんなバカなことをした?)

悔いて悔いて悔いて、ここで幾度目かわからぬ命を生きているのだ。

かつての自分たちが何を思ってそんな別れを選んだのか理解などできないけれど。
そんなこと、もう二度と繰り返すもんか。瑞は強く思う。

「俺が何を思ってこのひとに別れを強いたのかは、ほんと理解できない。でも、もう間違えないし、どこにも行かせない」

伊吹が目を開けて、静かに瑞を見つめた。どこか遠いところを見ているかのような視線に、瑞は戸惑う。それを見透かしたかのように、颯馬が呟く。

「瑞くんはそれでいいかもしれないけど、神末先輩には、別れた上で忘れなくちゃいけない理由があったんじゃないの?」

理由?

「誰だって、大切なひととは別れたくないし忘れたくないでしょうよ。でも、神末先輩には、そうしなきゃいけない理由があった」

どんな理由があるというのだ。突如大きな不安が遅い、瑞は伊吹を振り返る。

「先輩…」