小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

あの日、雨に消えた背 探偵奇談10

INDEX|7ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


「神様とか、それに近い力を持つ存在だったんだと思う。じゃないと転生を繰り返すなんてできないと思うよ?いい神様か悪い神様かは知らないけど。うちの天狗様たちに嫌われてるくらいだから、俺は悪い神様だと思ってるけどねー」

わけがわからない。俺だってよく知らないよ、と付け加えてから、颯馬は今度は伊吹を見た。

「そして神末先輩は…瑞くんがその神様だか何だかだった頃に振り回されてた人間。祀っていた家系のひとか、その末裔か…。そんな感じだと思う。縁があったひと。悪縁か良縁か」

縁。夢で見た祖母にも言われた言葉だ。「いつかの時代で御縁のあったひと」

「…全然、意味がわかんないんだけど」

瑞は頭を抱えた。自分は一体どういう存在で、どんな時代を過ごしてきたのだろう。伊吹を振り回してきただって?


「…颯馬は、死別よりもつらい別れって、なんだと思う?」


頭を抱えている瑞の隣で、伊吹が突然そう言った。思わず顔を見ると、伊吹は静かな無表情を浮かべ、まっすぐに颯馬を見ていた。まるで動じていないかのようだった。いつか、迷い込んだ山で見たときの目だ。別人のような。

「んとね…俺なら、忘れちゃうことかな。あと、忘れられること」

忘れてしまうこと。忘れられてしまうこと…。颯馬があっさり答えたことに瑞は驚く。そうか、と目からうろこが落ちる思いだった。

「幸せも、悲しみも、思い出も、記憶も、もらった気持ちも交わした言葉も…全部なかったことになるのは、別れよりひどいよね?思い出せなくなるんだもん」

そう思いませんか。颯馬は伊吹にそう言った。伊吹は、黙って目を伏せた。颯馬の言葉を、どう受け取ったのだろうか。噛みしめるように黙っている。